潰瘍性大腸炎と青黛(せいたい)—副作用への対応—

2017年12月4日月曜日

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 先月の慶應大学からのプレスリリースや、テレビニュースをご覧になって、当診療所にも潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)に対する青黛(せいたい)の内服治療についてのお問い合わせが増えております。そこで本日は、青黛の副作用への対応について、昨日のブログに引き続き当診療所の考え方をご説明致します。

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 2016年12月に厚生労働省から青黛の副作用に関する通知が出されました。そこで当診療所では、消化器内科などの現在の主治医が青黛内服について了承しており、ご本人ご家族から青黛に下記の5点の副作用の可能性があることをご了解頂けた場合に、青黛カプセルの処方を開始させて頂いております。

 青黛内服中に特に注意すべき副作用

1.肺高血圧症 
2.肝障害 
3.胃粘膜への刺激症状(嘔気など)
4.指先が青くなる(色素沈着)
5.何となく冷え症になる


 もし上記のような副作用が起きた場合、下記のような対応を想定しております。

1.肺高血圧症の発症を疑う場合
⇒ 青黛の内服を直ちに中止し専門医を受診して頂く。

2.肝障害
⇒ 肝障害の程度によるが、原則として青黛の内服を中止して頂く。

3.胃粘膜への刺激症状(嘔気など)
⇒ 青黛をカプセル化することにより、発生をかなり予防できます。

4.指先が青くなる(色素沈着)
⇒ 1日内服量が多くなると(1日量が3gから4g)出現することがありますが、減量により消失します。また、青黛内服により尿が青っぽくなることがありますが、これは副作用ではありません。

5.何となく冷え症になる
⇒ 漢方医学では青黛は身体を冷やす生薬と考えられており、実際青黛の内服を開始した後、「何となく冷え症になった」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

漢方医学的な考え方では、メサラジン製剤(ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®)も、体を冷やす薬剤と考えられます。メサラジン製剤の内服で「何となく冷え症になった」と感じている方は、青黛の内服でも同じように感じられるようです。

対応としては、青黛の内服量や内服期間を必要最低限とし、血流をよくしたり、体を温める働きのある漢方薬を併用すると良いようです。

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 上記の副作用の中でも、厚生労働省からの通知の通り、肺高血圧症の発症には特に留意しなければなりません。(T.K.)

 関連ブログ:

 潰瘍性大腸炎と漢方薬:中華民国生薬学会 (1)

 潰瘍性大腸炎と漢方薬:中華民国生薬学会 (2)

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