前回の『養生訓』は「何事も100%完全にやろうとしない方が良い。」というお話で終わっていましたが、引き続き貝原益軒が「養生のためのこころの持ち方」について述べています。
ボタン科シャクヤクPaeonia lactiflora の花(5月の千葉大学柏の葉キャンパス薬草園にて) |
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聖人は、しばしば「楽しみ」を説かれる。
私の愚かさでは、聖人のお考えを推し量ることは難しいが、「楽しみ」とは人が生まれつき持っている天性の性質なのであろう。
「楽しむ気持ち」を忘れて、人の天性の性質にそむいてはならない。常に正しい道をとるようにして、「楽しむ気持ち」を失ってはらない。
「楽しむ気持ち」を失わないことが、養生の基本である。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第二 総論 下から)
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生活も、仕事も、楽しむ気持ちを持ちながら行うことが、養生につながるようです。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。