今日はあいにくの雨ですね・・・
ところで、早春から梅雨時は、生活パターンの変化とストレスで、それまで目立たなかった諸々の体調不良の症状(動悸や緊張、胸のしめつけ感、息苦しさ、冷汗、体の震え、ふらつき、手足のしびれ、脱力感、頻尿、のどの渇き、不眠、頭痛など)が現れやすくなると言われています。
一般内科などで検査を受けても「異常なし」と言われ、それでもご本人さまにとっては体調が悪い状態です😞
概してこれらは自律神経の失調、特に交感神経の緊張によるものです。
漢方では、このような心身の不調を「気」の流れが乱れた状態と見なします。
まさに漢方薬の出番です!!
今日はそのうち「奔豚気(ほんとんき)病」についてお話します。
「奔豚」とは、「子豚がトコトコと胸を駆け回る」すなわち「動悸」を表す言葉です。
英語では running pig syndrome と訳されるようです!
「奔豚気」は激しい動悸を伴って、下腹部から胸部や頭部に向かって何かが付きあがってくる異常感覚のことを指します。
この症状は、正常なら上から下へ流れるべき「気」が瞬間的に逆流することによって起こるといわれます。
およそ1800年前の古代中国で著された『金匱要略(きんきようりゃく)』という東洋最古の治療学書の中にもある病態で、そこには「気が下腹部から咽喉へと繰り返して突き上がり、発作時には死ぬのではないかと思うくらい苦しい」と記載されています。
また、治療薬として、苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)、奔豚湯(ほんとんとう)、桂枝加桂湯(けいしかけいとう)の3つの処方があげられています。
「奔豚気病」は、いわばストレス社会における現代病の「パニック障害」と言うことができるでしょう。
また、突き上がるような動悸や不安発作がなくても、交感神経が興奮して、胸がそわそわして動悸がする、イライラする、寝付きが悪くて眠りが浅い、音に驚きやすいなどの症状を訴える人がいます。これには、鎮静作用を持つ竜骨(巨大哺乳動物の化石)や牡蛎(ぼれい)(カキの貝殻)という生薬が配剤された処方を考えます。
もちろん他にも気持ちを落ち着けてくれる漢方薬はたくさんあります!
たとえ検査結果で「異常なし」と言われても、おつらい症状は早く治したいですよね♪
ぜひ漢方をご活用なさってください😄
<参考>
奔豚気(類似)病態診断基準(寺澤による)
① 腹部から心下あるいは胸内への突き上げ感 ② 発作性の顔面紅潮
③ 発作性の上熱下寒 ④ 動悸発作 ⑤ 臍上または臍下の悸
⑥ 不安感,焦燥感 ⑦ 発作性の頭痛,咽喉閉塞感,あるいは胸内苦悶感
〔判定〕以上7項目のうち,3項目以上を満たすもの。
子豚が胸を駆け回る? ほんとん! yi |