引き続き、貝原益軒が養生を行うための「こころの持ち方」について述べています。
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ユリ科イヌサフランColchicum autumnaleの花(五分〜八分咲き)(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園にて) |
何事でも、やりたい事を十分に満足するまでやってしまうと、さらにその上につけ加えることができなくなるので、かえって憂いが生じる原因となる。
昔の人は、「酒は、ほろ酔い程度に飲むのが良い。花は、五分咲きの頃に見るのが良い。」と言っているが、これはいかにももっともなことだろう。
酒を十分に満足するまで飲むと、人間の体には害になる。少しだけ飲んで、飲み足りないぐらいの状態が、最も酒を楽しむことができ、憂いも生じない。
花も、十分に開いてしまうと、盛りが過ぎて花の形が失われ、すぐに散ってしまう。
昔の人は「いまだ開ききらない花こそが、その花の盛りである。」とも言っている。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第二 総論 下から)
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今日の写真は上下に2枚あります。上の写真は五分〜八分咲きのイヌサフラン(先週の火曜日に撮影)、下の小さな写真は八分〜十分咲きのイヌサフランです(先週の土曜日に撮影)。
皆様は、貝原益軒のこの考え方、どう思われますか?(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。