『養生訓・総論 下』(10):呼吸法(前半)

2017年3月3日金曜日

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 貝原益軒が「呼吸法」について述べています。今日はその前半の内容をご紹介します。

フクジュソウAdonis amurensis(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園・20170225撮影)

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呼吸は、人の鼻から常に出入りする息である。「呼」は出る息であり、体内の気を吐くものである。「吸」は入る息であり、体外の気を吸うものである。

呼吸は人が生きるために必要なものであり、呼吸できなければ死んでしまう。

「人の体内の気」は、「天地の気」と本来は同じものであり、体の内と外は相通じている。人が「天地の気」の中にいるのは、魚が水中にいるようなものである。「魚の体内の水」も、「体外の水」と出入りするので、同じである。「人の体内の気」も、「天地の気」と同じである。

しかし、「人の体内の気」は、五臓六腑にあって、古くなりやすくけがれやすい。一方「天地の気」は、つねに新しくて清い。時々鼻から外気を多く吸い込むべきである。吸い込んだ気が、体内に多く貯まったら、次に口から少しずつ静かに吐き出すべきである。荒っぽく早く吐き出してはいけない。

これは、古くなってけがれた気を吐き出して、新しい清い気を吸い込む「深呼吸」である。新しい気と、古い気を入れ換えることである。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第二 総論 下から)

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次回は、呼吸法の後半です。さらに具体的な呼吸の方法が説明されています。(T.K.

 底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。

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