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珍味や美味の食事でも、腹八分目か九分目でやめておくべきである。腹十分目まで満たしてしまうと、後で災いが起こる。
少しの間、食欲をこらえれば、後の災いは起こらない。
少し飲み食いして味が良いのを知ることは、多く飲み食いして飽きるほど腹いっぱいになることと、食べ物を楽しむという点では同じであり、かつ、後の災いを起こさない。
何事も、十分にしてしまうと、必ず災いが起こる。とりわけ飲食については、腹十分目まで満腹になるのは避けなければならない。
また、最初に慎んでおけば、後の災いは起こらない。
(貝原篤信 編録『養生訓』巻第三 飲食 上から)
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次回も、食事の内容についてのお話が続きます。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。