『養生訓・飲食 下』(2):大根(だいこん)

2018年12月13日木曜日

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前回、貝原益軒は「瓜(うり)は、夏の暑い時期以外は食べてはいけない」と説いていましたが、今回は大根(だいこん)がテーマです。

ムクロジ科カエデ属樹木の紅葉(千葉大学柏の葉キャンパスにて)
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大根は、野菜の中の「上品(じょうほん)」※である。常に食べるべきである。

葉の硬い部分を取り去って、軟らかい葉と根とを、味噌でよく煮て食べると良い。胃腸の働きを良くして、「痰(病気の元)」を去り、「気(生命エネルギー)」を巡らす。

ただし、大根の生の辛いものを食べると、「気」が減ってしまう。しかし、食べ物が胃腸に滞っている時は、大根の生の辛いものを少し食べても害はない。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第四 飲食 下から)

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※ 今回出てきた「上品」という言葉は、見た目や立ち振る舞いが良い「じょうひん」でもなく、仏教の修行の段階の「じょうぼん」でもなく、「じょうほん」と読むのが良いと思われます。

本草学という古典を重視する生薬学には、生薬を大きく「上品(じょうほん)」「中品(ちゅうほん)」「下品(げほん)」の3種類に分類する考え方があります。

「上品(じょうほん)」に分類される生薬は、体を軽くして寿命を延ばすことができ、長期間服用し続けても副作用は無いといわれています。

貝原益軒にはこの知識があって、大根は「上品(じょうほん)」に相当するのだと表現しているのだと思われます。(T.K.)


底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。

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