かぜに葛根湯?

2024年2月9日金曜日

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 「かぜはほとんどがウイルス性感染症なので、細菌感染症に使う抗生物質を使っても意味がありません!」ということは、多くの方に広まってきている印象があります。しかしながら、その続きとして「かぜには特効薬はないので、対症療法となり、咳には咳止め、熱には解熱剤を処方します」というのが、現代医学(西洋医学)では一般的だと思います。もちろん、インフルエンザにはよく効く抗ウイルス剤がありますので、発症から48時間以内に診断がついた方には使用をお勧めします。

 

では、漢方医学ではかぜに対してどのように対応するのでしょうか?

段階(「かぜのひきはじめ」か「高熱が落ち着いた後か」など)や体質(体力があるかないかなど)によって使う漢方薬は異なります。選択を誤ると「私には漢方は効かない😖」となってしまいます。

 

どんな病気でも、病状が進むほど治りにくくなりますが、かぜも同じです。はじめは軽い症状ですが、進むと一気に猛威を振るって、人によっては肺を破壊して死に至らしめるような重篤な症状になることがあります。これは不始末によって残った火が一気に燃え広がり、大火事になるようなもので、漢方は、この最初の小さな火を消すことを得意としています。

ですから、「かぜのひきはじめ」にこそ上手に漢方薬を使っていただき、短期間で回復していただければと思います。

 

「かぜに『葛根湯』」は有名かと思いますが、葛根湯は「寒気がして肩や背中がこわばって今から熱が出てきそう!」というタイミングで服用することが大事です。粉薬であれば、お湯で溶かして飲みます。そして温かくて消化の良いものを軽めに食べたり、お風呂で温まったりしながら、場合によっては汗をかくまで3時間ごとに繰り返して服用します。そのあとしっかり寝ればおそらく起きた時にはからだが楽になっているでしょう。

 

なお、「かぜのひきはじめ」から汗ばむ方には葛根湯は合いません😱

また、体力があまりない方で、寒気がするというより、からだが冷えてのどがちくちく痛い場合も葛根湯は合わないので、ご注意くださいませ。

 

かぜの初期だけでも漢方薬の選択肢は10種類くらいありますし、さらに、「高熱は下がったけれど微熱が夕方になると出る」とか「強い咳だけ残る」という段階に入れば、当然違うものを服用していただきます。

ですから、自己判断で選択するのがむずかしければ、ぜひ専門医にご相談ください!もちろん、「私にはこれが合う」というものがあれば、常備しておき、いざという時にタイミングを逃さずに服用していただければと思います。

 

漢方では、気温や気圧、乾燥や湿気などの環境因子、あるいは細菌やウイルスなどが、私たちの体を守るバリアである「衛気(えき)」のほころびから侵入してきたときに、感染症を発病すると考えます。侵入してくるものを総称して、「外邪(がいじゃ)」と呼びます。

感染症は、この「衛気」と「外邪」との関係によって生じるものなので、同じ条件下でも人によってかぜをひくこともあれば、まったく問題なく、健康でいられることもあります。「衛気」がしっかりしていれば、「外邪」がやってきても侵入できませんし、万が一侵入したとしても、初期の段階で打ち勝つことができるでしょう!

「免疫力を上げましょう」という言葉もコロナ禍で浸透してきていると思いますが、ふだんからしっかり養生していくことが大事です😄

 

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東洋医学に基づいた丁寧な診察を行い、本格的な漢方治療・鍼灸治療をご提供しております。 どなたでも受診できますので、お気軽にご相談ください。

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