写真は先週千葉県某所で見つけたカジノキの果実です。落下した果実にアリが群がっていたので、(アリには申し訳無かったのですが)果実を拾い上げて味わってみたら、クワの実風味でジューシーですごく甘いものでした!
カジノキの果実(榖実) |
さて、10年くらい前に中国の四川省で、紀元前100年頃のお墓の副葬品の中から竹片に書かれた当時の医学書が発見され、『天回医簡(てんかいいかん)』と名付けられました。『史記』を書いた司馬遷(しばせん)とほぼ同時代の人物のお墓で、タイムカプセルのように2100年ぶりに当時の医学の様子が現代によみがえった訳です。
その中に下記のような煎じ薬が書かれていました。
急な下腹部痛を治す処方
シナモンの枝
シャクヤクの根
乾燥させたショウガ
ナツメの果実
カジノキの果実
お酒でよく煎じて、1日2回服用する。
実は「カジノキの果実」以外の4つの生薬は、その後300年ほどして編纂される『傷寒論(しょうかんろん)』という医学書に掲載された「葛根湯(かっこんとう)」のコアメンバーになっていきます。
しかし「カジノキの果実」は「葛根湯」の成分としては採用されず、「カンゾウの根」という別の甘い植物と置き換えられてしまいました。「カジノキの果実」、残念ながらオーディション落選!!!
「カジノキの果実」を生薬として保管するためには8-9月に採取し40日間日干しをしないとならないとのことで、採取後の処理が面倒だったのと、生産量も簡単には増やせなかったからでしょうか?
もしも葛根湯に、「カンゾウの根」ではなく、「カジノキの果実」がそのまま採用されていたならば、現代の漢方はどうなっていたでしょうか??? 「カンゾウの根」の成分を多く摂り過ぎると、稀に、偽アルドステロン症という、身体がむくんだり、血圧が上がったりする副作用が起こることがありますので。。。TK