前回は「やりたい事を十分に満足するまでやってしまうと憂いが生じますよ」というお話でしたが、引き続き貝原益軒が「こころの持ち方」について述べています。
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何事も100%良くやろうとすると、自分の悩みのもととなって、楽しみがなくなる。災難もここから起きてくる。
また、他人が自分に十分に良くしてくれることを期待して、他人の足りない部分を怒り責めれば、やはり自分の悩みのもとになる。
また、日々の飲食、衣服、食器、住まい、庭の草木も、皆華美なものを好むべきではない。少しばかり良いものであれば、それで間に合う。
100%を求めるべきではない。これは、自分の「気」を蓄えておく知恵である。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第二 総論 下から)
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何事も完璧主義では、消耗してしまうということを言いたかったのでしょう。今風に言うと、「自分にも他人にも70点主義で」ということでしょうか。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。