『養生訓・飲食 上』(8):胃薬に頼らない

2018年4月5日木曜日

t f B! P L
千葉大学柏の葉キャンパスにて(2018.3.31)
 「食べ過ぎには○○胃腸薬」「飲み過ぎには△△胃酸」などというテレビコマーシャルをよく目にしますが、貝原益軒はどのように述べているでしょうか?

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 食べ過ぎや飲み過ぎで胃腸をこわした時は、作用が強い薬を使って食物を消化させなければ良くならない。

 例えば、敵が味方の領内に乱入して害を与え、城郭を攻め破ろうとしている時は、味方からも強い兵を出して防戦させ、味方の兵も多く討ち死にしなければ、敵に勝つことはできない。

 強い薬を使って食物を消化させるということは、自分の腹の中を、敵と味方の戦場とすることで同じである。飲食した食べ物や酒が敵となって、自分の腹の中を攻め破るだけではなく、治療のための強い薬が敵を攻めれば、自分の元気が減ってしまう。敵兵と味方の兵が、自分の腹の中で乱れ戦えば、甚だしく元気が損傷する。

 敵を味方の領内に引き入れて戦うよりも、敵の侵入を防いで領内に入れないことが一番良い。

 したがって、食べ過ぎや飲み過ぎをしないようにして、控えめにしておけば、食べ物や酒が敵になることはない。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第三 飲食 上から)

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 今日のお話の内容も、貝原益軒の「予防医学」の発想をよく表していると思われます。(T.K.)

 底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。

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