漢方では、その「くらっと」来た様子がとても大事です。
数年前、筆者が地下鉄のホームを歩いていた時に、まっすぐ歩いているつもりがどうしても斜めに歩いてしまうのです。椅子に座ってしばらく休みながら、「これが斜行感というものか」と真武湯に思いを馳せました。
藤平健先生は、「真武湯のめまいは、雲の上を歩むような頼りなさ。また、まっすぐな廊下を歩くといずれかに寄ってしまうようなものである」と述べています。筆者は「水滞」、つまり水が滞りやすく、むくみやすい体質であることから、冷えや疲れが重なってそのような症状を引き起こしたと考えられました。
なお、天井が回るような、回転性のめまいは沢瀉湯(たくしゃとう、エキス製剤では五苓散で代用)がよいとされています。
また、起立性低血圧やめまいには苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)がよいとされています。全校集会で校庭に長時間立っているとき、時々倒れてしまう同級生がいましたが、「JIN」のようにタイムスリップして苓桂朮甘湯を渡せたらお役に立てたでしょう。
福島県立医大の三潴忠道先生は、
「立てば苓桂(りょうけい)回れば沢瀉(たくしゃ)歩くめまいは真武湯(しんぶとう)」
と言っておられます。
食生活の改善や漢方治療により、めまいを起こしにくい体質に変えていきましょう!(S)