私が興味深く思ったのは、中国雲南省・文山(ぶんざん)の市場で山積みになって売られている様子が放映されていた三七人参(さんしちにんじん)です。
番組中では、地元の方々が、三七人参の花を豚肉と一緒に炒めた料理や、三七人参の根を鶏肉といっしょに煮込んだ料理を、美味しそうに食べている姿が紹介されていました。
NHKのアナウンサーの方が、「三七人参は、中国では古くから“長寿の薬”として知られていて、血の巡りを良くしたり、血圧を下げたりする効果があると言われています。薬食同源の一例です。」と解説されていました。
実際、日本メーカーのライオンさんが、三七人参の成分のパナキサトリオールに血糖値を抑える働きがあることを発見されたそうで、健康対策の食品素材として期待できそうだとのことでした。
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三七人参の粗粉末(1g)(千葉大学柏の葉診療所調剤) |
本草書が三七を収載したのはそれほど古くはないようです。明代の李時珍(りじちん)が編纂した生薬解説書『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも、
「三七は、最近になって始めて、世間で知られるようになった。」
と記載されています。
ただし、『本草綱目』には、
「三七は、南方では戦場での刀傷を治すための大切な生薬であり、とても効果がある。また、杖打ちの刑でできた皮下出血や青あざにも効果がある。婦人の産後に内服しても良い。」
とも書かれていて、大陸の南部では打撲傷などの出血に対して、既によく使われていたようです。
時代が下って、中華民国時代の医学書『医学衷中参西録(いがくちゅうちゅうさんせいろく)』の三七の項目には、
①「 止血作用がある。したがって、吐血・鼻出血・血尿・子宮からの出血異常・腸の潰瘍が原因となる下痢下血などに内服する。」
②「 血液を巡らす作用がある。したがって、無月経、女性の下腹部の腫れ物などに内服する。」
③「 刃物による切り傷には、粉にして傷口に外用すると、血が止まって治る。」
と、記載されています。
当診療所では、三七人参は粗粉末を採用し、伝統的な使用目的に準じて処方しておりますが、外用はお薦めしておりません。(T.K.)
と、記載されています。
当診療所では、三七人参は粗粉末を採用し、伝統的な使用目的に準じて処方しておりますが、外用はお薦めしておりません。(T.K.)