貝原益軒が、お酒と健康について語り始めています。
お酒は「天の美禄(びろく)※」であると言われている。
少し飲めば、“陽気(ようき)”を助け、“血気(けっき)”をやわらげ、“食物の気”をめぐらし、人から憂いを去って、楽しい気持ちにさせるという点では、お酒はたいへん有益である。
しかし、多く飲めば、お酒ほど健康を害するものはない。
少量の水や火が、人の生活に役立つ一方で、大量の水や火が、人に災いをもたらすのとよく似ている。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第四 飲食 下から)
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※「美禄(びろく)」とは、「すばらしい授かりもの」という意味ですので、「天の美禄」とは、「天から授かった、ありがたい恵み」という意味でしょう。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。