令和6年1月1日発災の能登半島地震では甚大な被害が生じ、多くの方々が苦難を強いられているものと思われます。一刻も早い復旧、復興をお祈りいたします。
日本東洋医学会では、『避難者、被災者への体調管理支援~漢方薬の活用~』と題し、東日本大震災の際に漢方薬が有用であったとされる学術論文を元に、これらをまとめたものを掲載しております。漢方診察など行わなくても症状や疾患に合わせて使えるようになっておりますので、ご参考にしていただけますと幸いです。
どなたでも閲覧できるものになっておりますので、よろしければ「日本東洋医学会」ホームページをご覧くださいませ。
一部を紹介させていただきます。
まずは、2011年に東北大学の高山真先生がご発表された「東日本大震災における東洋医学による医療活動」の論文からの抜粋です。
「ライフラインが復旧せず医療機器の使用が困難な中にあって、医師の五感により病状を把握し治療方針を決定できる東洋医学は極めて有効な診断、治療方法であった。被災直後には感冒、下痢などの感染症と低体温症が課題であり、2週間経過後からアレルギー症状が増加し、1か月以降は精神症状や慢性疼痛が増加した。感冒や低体温に対する解表剤や温裏剤、咳嗽やアレルギー症状に対する化痰剤、疼痛やコリ、浮腫に対する鍼治療・マッサージ施術は非常に効果的であった。人類の過酷な歴史的条件の下に発達した東洋医学は大災害の場でも有効であることを確認した。」とあります。
このように、元となった論文は漢方の専門家によるものですが、繰り返しになりますが、今回、日本東洋医学会がまとめたものは、漢方の専門家でなくても漢方薬を活用できるように、症状や疾患などに合わせた漢方薬のご提案となっております。漢方薬には「一般用」と「医療用」があるのですが、「一般用」であれば医師の処方箋がなくても薬局などで入手可能です。
しかしながら注意点もいくつかあります。
・複数の漢方薬を併用する場合、含まれる生薬が重複することにより副作用が出やすくなる場合があります。(特に「甘草」という生薬は量が多いと、高血圧・低カリウム血症・浮腫など起きやすくなる場合があります。)下記の表の*は甘草が含まれる漢方薬です。
・ご自身の判断で服用される場合は、なるべく一時的の使用とし、病状が長引く場合は医師や薬剤師にご相談ください。
また、改めまして、医療活動に携わってくださった方々へ、敬意を表し、感謝申し上げます。