2020年2月17日月曜日

新型コロナウイルスを防ぐには(厚生労働省)

昨晩、新型コロナウイルス感染に関する専門家会議が開催され、「国内の感染は発生早期」と判断されたそうです。

この会議を受けて本日、厚生労働省のホームページに、新型コロナウイルスを防ぐにはとの文書が発出されました。この文書の中の「日常生活で気を付けること」という項目の内容を下記に引用してみます。


*****以下、「新型コロナウイルスを防ぐには(厚生労働省)」から引用*****

日常生活で気を付けること

まずは手洗いが大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などにこまめに石けんやアルコール消毒液などで手を洗いましょう

咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください

持病がある方、ご高齢の方は、できるだけ人混みの多い場所を避けるなど、より一層注意してください。


※ 発熱等の風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休んでください。
※ 発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録してください。

*****  引用は以上です  *****


いろいろな予防の工夫があると思いますが、最も基本的で、科学的根拠があるのは、「手洗い」ということですね。

「咳エチケット」というのは、咳やくしゃみをするときに、マスク・ティッシュ・ハンカチ・袖などを使って、 口や鼻をおさえる動作をすることです。

八重咲きの梅の花(日光梅)(千葉大学柏の葉キャンパス)
※なお、日本国内で新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、指示に従って下さい。(T.K.) 

2020年2月7日金曜日

新型コロナウイルス感染症の初期症状の特徴は?(日本)

日本国内で、新型コロナウイルス感染症により入院している方々がいらっしゃいます。

日本感染症学会のホームページに、国立国際医療研究センターに最近入院された3名の患者さんについての報告書が掲載されました。(ここからこの論文を見ることができます。)

詳しい情報を知りたい方は実際の論文を見て頂ければ幸いですが、このブログでは、「新型コロナウイルス感染症の初期症状」の特徴について知って頂くために、この3名の患者さんの実際の臨床経過を摘録してみたいと思います。


*****以下、国立国際医療研究センターからの報告書から摘録*****

【症例1】
1日目:のどの痛みと微熱(37.5℃)が出現。
2日目〜4日目:のどの痛みと微熱が続く。
5日目:熱が上がり(38℃台)、新たに頭痛・悪寒・せき・たんが出現。
6日目〜7日目:38℃台の発熱・せき・たんが続く。
8日目:38℃台の発熱とのどの痛みが続く。体がだるくなり、頭が重くなる。
(頭痛と悪寒は感じなくなり、筋肉の痛みはない)
 入院。咽頭ぬぐい液から新型コロナウイルス遺伝子が見つかる。
 ロピナビル・リトナビル(※)の内服を開始。
9日目:呼吸が少し苦しくなり、鼻から酸素投与開始。
12日目:37℃程度まで解熱し、体のだるさも緩和してきた。酸素投与も不要になった。


【症例2】
1日目:のどの痛み鼻みずが出現。
3日目:軽い悪寒と微熱(37.1℃)が出現。体がだるくなる。のどの痛みと鼻みずは持続。
    (頭痛・筋肉痛・せき・たんはない)
 入院となり、体温が38.7℃まで上がったが、呼吸は苦しくならなかった。
4日目:咽頭ぬぐい液から新型コロナウイルス遺伝子が見つかる。
 ロピナビル・リトナビル(※)の内服は開始せず、酸素投与も不要。
 入院を継続し経過観察。
8日目:体温は37℃程度まで解熱し、呼吸は苦しくなっていない。
 ただし、体のだるさは続いている。


【症例3】
1日目:38℃の発熱と軽いせきが出現し入院。
    (悪寒・頭痛・筋肉の痛み・たん・体のだるさはいずれもない)
2日目:新型コロナウイルス遺伝子が見つかる。
 酸素投与は不要。ロピナビル・リトナビル(※)の内服は行わず、入院を継続し経過観察。
4日目: 体温は37℃程度まで解熱し、呼吸も苦しくなっていない。

*****  摘録は以上です  *****

ロピナビル・リトナビル(※):いわゆるエイズ(後天性免疫不全症候群)を起こすヒト免疫不全ウイルスに対する治療薬です。中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案」にも記載されている薬剤ですが、新型コロナウイルス感染症に有効だという客観的データはまだ無く、日本国内における新型コロナウイルス感染症に対する使用は承認されていません。


3名の方とも、最初の症状は「のどの痛み」、「鼻みず」、「軽いせき」であり、いわゆる風邪(かぜ)のひき始めと区別がつかないものでした。

しかし、一般の風邪(かぜ)であれば、こじらさなければ3日程度で症状は改善に向かうのが普通ですが、3日を過ぎても気道の症状が悪化していくのが新型コロナウイルス感染による症状の一つの特徴と言えそうです。

また、3日を過ぎるころから体がかなりだるくなってくるという症状が出ることも一般の風邪(かぜ)ではあまり起きないことですので、体がかなりだるくなるという症状も新型コロナウイルス感染による症状のもう一つの特徴と言えそうです。この点は、おとといご紹介した中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案」の内容と一致しています。

八重咲きの梅(朱鷺の舞)の花:千葉大学柏の葉キャンパス

※なお、日本国内で新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、指示に従って下さい。
(T.K.) 

2020年2月5日水曜日

新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第5版(中国)

本日、中国政府から「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第5版」が発表されました(ここをクリックすると、中国政府のホームページにつながります)。

新型コロナウイルスに感染した時の症状について、最新の情報が記載されていました。


*****以下、中国政府による「新型肺炎診療ガイドライン案・第5版」の一部を翻訳*****

感染源:新型コロナウイルスに感染している人(症状が出ていない潜伏期間でも感染源になる)

感染経路:飛沫(※)による感染、およびによる感染が主。エアロゾル(※)や糞便を介した感染は、まだ確定的ではない。

潜伏期間:1日から14日間(多くは3日間から7日間)

臨床症状:発熱・体がだるくなる・からせき(痰が出ないせき)が主症状。
     鼻づまり・鼻みず・のどの痛み・下利などの症状を伴う場合もある。

     軽症例では、微熱と体のだるさがあるだけで、肺炎症状は出ない。
     重症例では、発病後1週間後には呼吸困難となり、急性呼吸窮迫症候群(※)に進展することがある。

*****  引用は以上です  *****


飛沫(※)とは、5μm以上の粒子のことで、せきやくしゃみで生じた飛沫は1−2m程度飛んでから床に落ちます。

エアロゾル(※)とは、空気中を浮遊する微小な粒子のことです。粒子の大きさに関係なく、しばらく空気中を漂うものを指します。

なお、インフルエンザウイルスは、主として飛沫により感染しますが、エアロゾルによる感染を起こすこともあると言われています。

急性呼吸窮迫症候群(※)とは、重度の呼吸不全をきたした状態を言います。

新型コロナウイルス肺炎に対する漢方薬での対応方法については、先日このブログでご紹介した「第4版」の内容と「第5版」の内容には変更はありませんでした。

※なお、日本国内で新型肺炎の発症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に連絡し、指示に従って下さい。(T.K.)

キンポウゲ科フクジュソウ属フクジュソウの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)

***新型肺炎関連ブログ***

新型肺炎と漢方薬(発症疑いの時期)

新型肺炎と漢方薬(初期)

新型肺炎と漢方薬(中期)

新型肺炎と漢方薬(重症期)

新型肺炎と漢方薬(回復期)

双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)について

2020年2月3日月曜日

「双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)」について

中国の新華社通信は2020年1月31日付けの記事で、「上海の研究所で、双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)が、新型コロナウイルスを抑制する作用を持つことを発見した!」と伝えました。

双黄連口服液は、日本国内では販売されていませんが、中国では感冒に伴う発熱・咳嗽・咽頭痛などの症状を緩和する市販薬として知られているようです。金銀花(きんぎんか)・連翹(れんぎょう)・黄芩(おうごん)という3種類の生薬から作られた漢方薬とのことです。


しかし、翌2020年2月1日付けの中国の人民日報の記事では、「双黄連口服液の"爆買い"が起こっていることを懸念する。」と報じています。

そして、上海中医薬大学附属病院終身教授・呉銀根氏の「新型肺炎に対する漢方薬の予防効果はまだ不明確であり、さらなる調査と観察が必要だ。」というコメントを紹介し、さらに専門家達が「副作用(※)が起こる可能性がある。」と指摘していることを紹介し、双黄連口服液の内服は慎重になるべきであると注意喚起をしています。

この人民日報の記事の後半では、実際に新型肺炎患者の治療にあたっている上海中医薬大学附属病院呼吸器内科主任・張煒氏の「確かに漢方薬併用により、新型肺炎治癒後の患者の体力の回復が早まった。」とのコメントを載せていますが、張煒氏が「やはり、新型肺炎対策のポイントは予防にある。睡眠の確保、外出の減少、マスクの着用、頻繁に手を洗うことが必要である。」と一般的な予防行為が大切だと強調していることを紹介しています。

* * * * *

副作用(※)について: 双黄連口服液に含まれる金銀花(きんぎんか)と連翹(れんぎょう)に関しては、アレルギー反応などがない限り、重篤な副作用は知られていませんが、黄芩(おうごん)は注意すべき副作用を起こしうることが知られています。

金銀花(きんぎんか)と連翹(れんぎょう)については、1月28日のブログでご紹介致しました。
シソ科タツナミソウ属コガネバナの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
黄芩(おうごん)は、シソ科コガネバナの根です。皮膚や内臓の炎症を緩和する目的で漢方ではしばしば使われる大切な生薬ですが、体質に合わない方が長期に内服すると、肝臓に負担がかかることがあったり、間質性肺炎(かんしつえせいはいえん)という、ウイルス性肺炎とは別の重篤な肺炎を引き起こすことが知られています。

中国の専門家達はこのような背景もあり、むやみに双黄連口服液を内服するのは良くないとコメントしているものと推測します。(T.K.)

***新型肺炎関連ブログ***

新型肺炎と漢方薬(発症疑いの時期)

新型肺炎と漢方薬(初期)

新型肺炎と漢方薬(中期)

新型肺炎と漢方薬(重症期)

新型肺炎と漢方薬(回復期)

双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)について

2020年1月31日金曜日

新型肺炎と漢方薬(回復期)

前のブログに引き続き、中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第4版」から、新型肺炎の回復期(解熱後、まだ体力が回復していない時期)に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国政府による「新型肺炎診療ガイドライン案・第4版」の一部を翻訳*****

新型肺炎に対する漢方薬治療(回復期:解熱後、まだ体力が回復していない時期)
臨床症状:(熱は下がったが、)息切れがして、疲れやすい。
胃がつかえていて、食欲が戻らず、(無理して食べようとすると)ムカムカ吐き気がする。
便は出づらく、便が出てもベトベトしていてすっきりしない。
舌はむくんで、色は淡く、ベットリとした白いコケがついている。

東洋医学的解釈(※):肺(呼吸器系)と胃腸(消化器系)の働きが低下している。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、茯苓(ぶくりょう)、藿香(かっこう)、縮砂(しゅくしゃ)


*****引用は以上*****

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。


回復期の状態は、「肺(呼吸器系)と胃腸(消化器系)の働きが低下している」と解釈されていますので、呼吸器系と消化器系の働きを助ける生薬が選ばれています。

人参(にんじん) とは、いわゆる薬用人参のことで、ウコギ科オタネニンジンの根です。呼吸器系や消化器系の働きを助けたり、全身の体力を回復させる目的としては最も頼りになる生薬です。

黄耆(おうぎ) とは、マメ科キバナオウギの根です。よく上記の人参といっしょに用いられ、呼吸器系と消化器系の働きを助け、全身の免疫力を上げるのに役立つと言われています。
マメ科ゲンゲ属キバナオウギの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
陳皮(ちんぴ) とは、ミカン科ウンシュウミカンの果皮です。「みかんの皮」を乾燥させたもので香りが良く、七味唐辛子の中に入っていることからわかるように、胃の動きを促進して食欲の回復を助けます。

半夏(はんげ) とは、サトイモ科カラスビシャクの塊茎(地下茎の一部)です。胃のつかえ感や、吐き気を緩和する目的で用いられ、しばしば上記の陳皮といっしょに使われます。
サトイモ科ハンゲ属カラスビシャクの地上部(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
※本ガイドラインで薦められている漢方処方は日本では一致したものはありませんが、もし医療用漢方製剤(医師が処方できるエキス剤)147種類の中から選ぶとしたら六君子湯(りっくんしとう)でしょうか。また、一般用漢方製剤294種類の中から選ぶとしたら香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)が該当すると思われます。

※なお、日本国内で新型肺炎の発症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に連絡し、指示に従って下さい。
(T.K.)

***新型肺炎関連ブログ***

新型肺炎と漢方薬(発症疑いの時期)

新型肺炎と漢方薬(初期)

新型肺炎と漢方薬(中期)

新型肺炎と漢方薬(重症期)

新型肺炎と漢方薬(回復期)

双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)について

新型肺炎と漢方薬(重症期)

昨日のブログに引き続き、中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第4版」から、新型肺炎の重症期に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国政府による「新型肺炎診療ガイドライン案・第4版」の一部を翻訳*****

新型肺炎に対する漢方薬治療(重症期)

臨床症状: 自力で十分な呼吸をすることが困難となり、体を少し動かしてもゼーゼーし、時に補助換気(※)が必要になる。
やがて、意識障害やせん妄(※)を来たす。
危篤状態になると、冷や汗が出て、四肢が冷たくなる。
舌の色は暗紫色となり、ベットリとした厚いコケあるいはカラカラに乾いたコケが付く。

東洋医学的解釈(※):正常な意識を維持する機能が閉じ込められ、かつ、体温を維持する機能が体から逃げ出してしまう。

処方:蘇合香丸(そごうこうがん)あるいは安宮牛黄丸(あんぐうごおうがん)を、下記の煎じ薬と一緒に投与する。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:人参(にんじん)、附子(ぶし)、山茱萸(さんしゅゆ)


*****引用は以上*****

※ 補助換気とは、自力で十分な酸素を肺から取り込めなくなった方に対して、人工呼吸器などの機械を使って人工的に呼吸を補助する方法です。

※ せん妄とは、意識がもうろうとして、意味不明なことを口走ったり、手足を無意味に動かしたりする状態です。

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。


今回は、「正常な意識を維持する機能が閉じ込められ、かつ、体温を維持する機能が体から逃げ出してしまう」と解釈されていますので、正常な意識を回復する薬剤と、体温を維持する機能を回復する薬剤が選ばれています。

蘇合香丸(そごうこうがん)安宮牛黄丸(あんぐうごおうがん)とは、12〜15種類の生薬の粉を丸剤にしたものです。犀角(クロサイのつの)、麝香(ジャコウジカの香り袋)、牛黄(ウシの胆嚢にできた結石)などが使われています。中国では意識に障害が起こった時に使われている処方ですが、日本国内では医療用漢方製剤としては扱われていませんのでご注意下さい。

人参(にんじん)とは、いわゆる薬用人参のことで、ウコギ科オタネニンジンの根です。附子(ぶし)は、キンポウゲ科トリカブト属植物の塊根に減毒処理を施したものです。体温を維持する機能を回復させる目的で、人参(にんじん)と附子(ぶし)が一緒に使われます。

山茱萸(さんしゅゆ)は、ミズキ科サンシュユの果肉です。当診療所では、ふだんは足腰のだるさや頻尿症状などに対して処方しておりますが、ここでは人参と協力して汗を止める目的で使われているものと思われます。

ミズキ科ミズキ属サンシュユの花(千葉大学柏の葉キャンパス・薬草園・春)

ミズキ科ミズキ属サンシュユの果実(千葉大学柏の葉キャンパス・薬草園・秋)
※本ガイドラインで薦められている漢方処方は日本では一致したものはありませんが、もし医療用漢方製剤(医師が処方できるエキス剤)147種類の中から選ぶとしたら真武湯(しんぶとう)と人参湯(にんじんとう)のミックスでしょうか。また、一般用漢方製剤294種類の中から選ぶとしたら茯苓四逆湯(ぶくりょうしぎゃくとう)が該当すると思われます。

※なお、日本国内で新型肺炎の発症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に連絡し、指示に従って下さい。(T.K.)

***新型肺炎関連ブログ***

新型肺炎と漢方薬(発症疑いの時期)

新型肺炎と漢方薬(初期)

新型肺炎と漢方薬(中期)

新型肺炎と漢方薬(重症期)

新型肺炎と漢方薬(回復期)

双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)について

2020年1月30日木曜日

新型肺炎と漢方薬(中期)

昨日のブログに引き続き、中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第4版」から、新型肺炎の中期に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国政府による「新型肺炎診療ガイドライン案・第4版」の一部を翻訳*****

新型肺炎に対する漢方薬治療(中期)

臨床症状:
熱が下がってもまた発熱する、あるいは、発熱が持続する。
咳き込むが痰が出づらい、あるいは、痰が黄色くドロッとする。
呼吸のペースが速くなり、ハアハアと息が切れ、体を動かすとゼーゼー息苦しくなる。
お腹が張って、便秘になることもある。
舌の色は赤みが強くなり、黄色いコケがべっとりと付く。 

東洋医学的解釈(※):強い毒が、肺の働きを閉じ込めている。 


煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの麻黄(まおう)、石膏(せっこう)、杏仁(きょうにん)、桃仁(とうにん)、栝楼仁(かろにん)、葶藶子(ていれきし)、蒼朮(そうじゅつ)、草果(そうか)、檳榔子(びんろうじ)、大黄(だいおう)

*****引用は以上*****

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。


今回は、「強い毒が、肺の働きを閉じ込めている」と解釈されていますので、悪い毒を強力に体から追い出す作用を持つ生薬を使っています。

麻黄(まおう)と石膏(せっこう)と杏仁(きょうにん)は、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方処方の主成分です。この処方は、日本でも医療用漢方製剤として喘鳴がある状態にしばしば処方されています。中国では、以前からウイルス性肺炎の補助療法として使われてきました。

石膏(せっこう)とは、天然の含水硫酸カルシウムで、解熱作用があると言われています。

杏仁(きょうにん)は、バラ科アンズの成熟種子で、咳や喘鳴を緩和する作用があると言われています。

桃仁(とうにん)は、バラ科モモの成熟種子です。ふだんは血流(微小循環)の改善に使われることが多いのですが、新型肺炎の場合は他の複数の生薬と協力して肺の炎症を改善させつつ、咳や喘鳴を緩和する作用を期待しているものと思われます。
バラ科モモ属モモの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
栝楼仁(かろにん)は、ウリ科キカラスウリの成熟種子です。気道の炎症があって、ドロッとした痰が出たり、咳をすると胸が痛くなるような場合に使用されますので、今回も必要な生薬として選ばれたものと思われます。
ウリ科カラスウリ属キカラスウリの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
※本ガイドラインで薦められている漢方処方は日本では一致したものはありませんが、もし医療用漢方製剤(医師が処方できるエキス剤)147種類の中から選ぶとしたら麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)と柴陥湯(さいかんとう)のミックスでしょうか。また、一般用漢方製剤294種類の中から選ぶとしたら麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)と柴胡枳桔湯(さいこききつとう)のミックスが該当すると思われます。

※なお、日本国内で新型肺炎の発症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に連絡し、指示に従って下さい。
(T.K.)

***新型肺炎関連ブログ***

新型肺炎と漢方薬(発症疑いの時期)

新型肺炎と漢方薬(初期)

新型肺炎と漢方薬(中期)

新型肺炎と漢方薬(重症期)

新型肺炎と漢方薬(回復期)

双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)について