新型コロナに対する漢方薬(軽症者)

2020年4月8日水曜日

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昨日のブログに引き続き、中国の「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第7版」から、新型肺炎の軽症者に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国の「新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン案・第7版」の一部を翻訳*****

新型肺炎に対する漢方薬治療(軽症者)

軽症者の定義:呼吸器症状を認めるが、画像検査では肺炎所見が認められないもの。

(1)東洋医学的に「冷たい湿気(しっけ)により肺がふさがれている。」と解釈される場合(※)

臨床症状:(悪寒)、発熱、倦怠感、全身の筋肉痛。
せき、たん、胸の不快感。
ムカムカして食べられない、嘔吐、大便が緩い。
舌に歯の跡がつき、表面に白いコケがべっとりと付く。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:麻黄(まおう)、石膏(せっこう)、杏仁(きょうにん)、羌活(きょうかつ)、藿香(かっこう)、蒼朮(そうじゅつ)、厚朴(こうぼく)、草果(そうか)、陳皮(ちんぴ)、檳榔子(びんろうじ)、生姜(しょうきょう)など

(2)東洋医学的に「熱を帯びた湿気(しっけ)が肺にたまっている。」と解釈される場合(※)

臨床症状:軽い悪寒、軽い発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、汗は少ない。
乾いたせき、たんは少ない、のどが痛む、口が渇くが水は飲みたくない、場合によっては胸がつまった感じがある。
場合によっては胃がムカムカして食べられない。大便が粘稠で不快。
舌の表面に白いコケあるいは黄色っぽいコケが厚くべっとりと付く。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)、知母(ちも)、連翹(れんぎょう)、大青葉(たいせいよう)、蒼朮(そうじゅつ)、厚朴(こうぼく)、草果(そうか)、檳榔子(びんろうじ)など



*****引用は以上*****

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。

麻黄(まおう)とは、マオウ科シナマオウなどの地上茎で、日本でも感冒に使われる葛根湯(かっこんとう)にも入っている生薬です。体を温めて、気管支を拡張して、呼吸を楽にする作用があります。
マオウ科マオウ属シナマオウ(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
羌活(きょうかつ)は、セリ科キョウカツの根茎と根です。当診療所ではふだんは頭部や関節などに慢性的な痛みがある方にしばしば処方しておりますが、中国では感冒による頭痛や関節痛にも使われるようです。

藿香(かっこう)は、シソ科パチョリの地上部です(シソ科カワミドリの地上部で代用できます)。体から不要な湿気を追い払い、胃腸の働きを助けて、体のだるさを緩和する作用があると言われています。
シソ科カワミドリ属カワミドリの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)

※なお、日本国内で新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、指示に従って下さい。(T.K.)


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