新型コロナに対する漢方薬(中等症者)

2020年4月9日木曜日

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昨日のブログに引き続き、中国の「新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン案・第7版」から、新型肺炎の中等症者に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国の「新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン案・第7版」の一部を翻訳*****


新型肺炎に対する漢方薬治療(中等症者)
中等症者の定義:呼吸器症状を認め、画像検査でも肺炎所見を認めるもの。
(1)東洋医学的に「寒気(かんき)と湿気(しっけ)が、肺の働きをさまたげている。」と解釈される場合(※)

臨床症状:熱が無いか微熱程度で、自覚的に熱っぽくても体表面では熱を感じない。倦怠感。
からせき(痰が出ないせき)、胸苦しい。
胃がつかえ、時にムカムカして、下痢便。
舌の表面に白いコケが付く。時にべっとりと厚くなる。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:麻黄(まおう)、羌活(きょうかつ)、藿香(かっこう)、厚朴(こうぼく)、蒼朮(そうじゅつ)、草果(そうか)、檳榔子(びんろうじ)など

(2)東洋医学的に「湿気(しっけ)の毒が、肺の働きを押さえつけている。」と解釈される場合(※)

臨床症状:発熱。息苦しい。
せきが出る。痰は少ないが、痰が出ると黄色い。
腹満、便秘。
舌の色が黒く赤くなって、むくむ。表面に黄色いコケがべっとりと付く。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:麻黄(まおう)、杏仁(きょうにん)、石膏(せっこう)、薏苡仁(よくいにん)、藿香(かっこう)、虎杖(こじょう)、蘆根(ろこん)、葶藶子(ていれきし)など
*****引用は以上*****

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。


麻黄(まおう)と杏仁(きょうにん)と石膏(せっこう)とは、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方処方の主成分です。この処方は、日本でも医療用漢方製剤として喘鳴がある状態にしばしば処方されています。中国では、以前からウイルス性肺炎の補助療法として使われてきました。

杏仁(きょうにん)は、バラ科アンズの成熟種子で、咳や喘鳴を緩和する作用があると言われています。

石膏(せっこう)とは、天然の含水硫酸カルシウムで、解熱作用があると言われています。

※なお、日本国内で新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、指示に従って下さい。(T.K.)


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