冬は夙めて(つとめて:早朝)

2015年11月25日水曜日

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 枕草子で述べる「冬に良きもの」の書き出しです(古文の時間に習いました)。清少納言は雪や霜の白さを愛でていましたが、私は明け方の空がとても美しく思います。

 空の高くは、まだ深い闇の色ですが、裾に向かって群青から明るい青に微妙なグラディエーションが続きます。「明けの明星」が煌めく一方で、日の出を示唆する仄かなオレンジが裾の一部を彩ります。空気は冷たく車もまばら、信号機が規則的に色を変えます。静かで清々しい「つとめて」です。
 
 もうすぐ師走。二十四節気の「小雪:しょうせつ」を過ぎて、日差しが弱まり初雪が降り始める頃です。あと1か月もすれば「冬至」、夜が益々長くなり寒さも厳しくなります。しかし、冬至は陰が極まって陽となり「一陽来復:いちょうらいふく」と言い、上昇運になると喜ぶ風習もあります。

 冬至には南瓜を食べ柚子湯に入りますが、ちょっと興味深いお話しがあります。

 「土用の丑の日」は「う」のつくものを食しますが、冬至は「ん」のつくもの、例えば「なんきん:南瓜」の他に、だいこん・にんじん・れんこん等を食すと「運盛り」と言って縁起が良いのだそうです。

 また、冬至かぼちゃは小豆を一緒に煮ますが、「赤」は古来から邪気を払う色です。
 柚子湯は血行を促進し体を温めて冷えを緩和しますが、「菖蒲湯」と由来を同じくし、元々は強い芳香で邪気を払う厄除けの禊(みそぎ)だったそうです。

 栄養面からみると加熱した旬の根菜類は体を温め、βーカロチンの豊富な南瓜は抗酸化作用が高く免疫機能を高めるそうですから、時節柄、風邪などの感染症予防には最適な食材といえます。

 昔の人は、季節を恙なく過ごせるようにと、上手な風習を私たちに残してくれました。(Y)

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