貝原益軒が、「過度の感情を身体に持っていることは病気の原因です。」と語っています。
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「気」は、身体のすみずみまで行きわたるべきです。
例えば、胸の中の1カ所に「気」を集めてはいけません。怒り、悲しみ、不安、悩みを解消できなくてずっと持っていると、「気」が胸の中の1カ所に集まってここに滞ってしまいます。
七情(しちじょう:七種の感情のこと)が過度になり、身体のどこかに滞っている状態は、病気が生じるもとになります。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第一 総論 上から)
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「気」とは、脳も含めた身体をめぐって身体の各器官の機能を維持する、目に見えないエネルギーを指します。
七情(しちじょう)とは、東洋医学でいう、病の原因となり得る七つの感情のことを指します。怒り、喜び、悩み、不安、悲しみ、恐怖、驚きの七つです。普通は、喜びは好ましいものと考えますが、東洋医学では過度の喜びが持続することは病気の原因になると考えています。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。