貝原益軒が、「気の流れ」の大切さを強調しています。
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天候を動かしている「気」が正常に流れ、滞ることが無ければ、四季が規則正しくやって来て、全ての生物が生を営むことができます。しかし、天候を動かしている「気」が滞ってしまい、流れが悪くなれば、冬が暖かくなったり、夏が寒くなったりして、大風や大雨が発生し、災害が起こってしまいます。
人の身体においても、また同じ事が言えます。
「気」がよく流れて、滞ることが無ければ、身体が強くなって病気にかかりません。「気」の流れが悪くなれば病気になります。
「気」が身体の上部に滞ると、頭痛やめまいが起こります。身体の中部に滞ると、胸や腹がつかえたり、張ったり、痛くなったりします。身体の下部に滞ると、腰痛や足のしびれが起こり、泌尿器や肛門の病気が起こります。
したがって、養生法を行おうとするためには、「気」が滞らないようにしましょう。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第一 総論 上から)
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「気」とは、脳も含めた身体をめぐって身体の各器官の機能を維持する、目に見えないエネルギーを指します。
東洋医学の基本的な考え方に、「人体は自然の一部」という考え方があります。今回のテーマはまさにこのコンセプトに沿ったものですね。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。