『養生訓・飲食 下』(3):茄子(なす)

2018年12月20日木曜日

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今回は茄子(なす)がテーマです。貝原益軒は何と言っているでしょうか?
ムクロジ科カエデ属樹木の紅葉(千葉大学柏の葉キャンパス)
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茄子(なす)は、「本草(ほんぞう)※」などの書物で、性質が好ましくないと言われている。

生だと毒があるので、生で食べてはいけない。

煮たものでも、下痢やひどい風邪の時には、避けなければならない。

その他の病気の時には、皮を取り去って、切って、米のとぎ汁に浸し、一晩か半日を経た後で、やわらかく煮て食べる。このようにすれば、害はない。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第四 飲食 下から)

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※ 「本草(ほんぞう)」とは、東アジアの伝統医学に用いられる薬物を研究する学問のことで、長い歴史を持ちます。

貝原益軒が薦めるナスの調理法は、本格的なアク抜きの方法ですね!

現代ではナスを生で食べる方がいらっしゃるぐらい安全な食品と考えられていますが、江戸時代のナスは、現代のナスに比べるとアクがかなり強かった可能性がありますので、貝原益軒は上記のように表現したものと思われます。

先日、ある長老の漢方医の講演会を聞きに行きました。余談の中で、「声楽家の方の中には、ナスは発声に良くないと言って、避けている方もいる。」とおっしゃっていました。貝原益軒の考え方と何か関連があるのかも知れません。(T.K.)


底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。



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