新型コロナウイルス感染症の初期症状の特徴は?(日本)

2020年2月7日金曜日

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日本国内で、新型コロナウイルス感染症により入院している方々がいらっしゃいます。

日本感染症学会のホームページに、国立国際医療研究センターに最近入院された3名の患者さんについての報告書が掲載されました。(ここからこの論文を見ることができます。)

詳しい情報を知りたい方は実際の論文を見て頂ければ幸いですが、このブログでは、「新型コロナウイルス感染症の初期症状」の特徴について知って頂くために、この3名の患者さんの実際の臨床経過を摘録してみたいと思います。


*****以下、国立国際医療研究センターからの報告書から摘録*****

【症例1】
1日目:のどの痛みと微熱(37.5℃)が出現。
2日目〜4日目:のどの痛みと微熱が続く。
5日目:熱が上がり(38℃台)、新たに頭痛・悪寒・せき・たんが出現。
6日目〜7日目:38℃台の発熱・せき・たんが続く。
8日目:38℃台の発熱とのどの痛みが続く。体がだるくなり、頭が重くなる。
(頭痛と悪寒は感じなくなり、筋肉の痛みはない)
 入院。咽頭ぬぐい液から新型コロナウイルス遺伝子が見つかる。
 ロピナビル・リトナビル(※)の内服を開始。
9日目:呼吸が少し苦しくなり、鼻から酸素投与開始。
12日目:37℃程度まで解熱し、体のだるさも緩和してきた。酸素投与も不要になった。


【症例2】
1日目:のどの痛み鼻みずが出現。
3日目:軽い悪寒と微熱(37.1℃)が出現。体がだるくなる。のどの痛みと鼻みずは持続。
    (頭痛・筋肉痛・せき・たんはない)
 入院となり、体温が38.7℃まで上がったが、呼吸は苦しくならなかった。
4日目:咽頭ぬぐい液から新型コロナウイルス遺伝子が見つかる。
 ロピナビル・リトナビル(※)の内服は開始せず、酸素投与も不要。
 入院を継続し経過観察。
8日目:体温は37℃程度まで解熱し、呼吸は苦しくなっていない。
 ただし、体のだるさは続いている。


【症例3】
1日目:38℃の発熱と軽いせきが出現し入院。
    (悪寒・頭痛・筋肉の痛み・たん・体のだるさはいずれもない)
2日目:新型コロナウイルス遺伝子が見つかる。
 酸素投与は不要。ロピナビル・リトナビル(※)の内服は行わず、入院を継続し経過観察。
4日目: 体温は37℃程度まで解熱し、呼吸も苦しくなっていない。

*****  摘録は以上です  *****

ロピナビル・リトナビル(※):いわゆるエイズ(後天性免疫不全症候群)を起こすヒト免疫不全ウイルスに対する治療薬です。中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案」にも記載されている薬剤ですが、新型コロナウイルス感染症に有効だという客観的データはまだ無く、日本国内における新型コロナウイルス感染症に対する使用は承認されていません。


3名の方とも、最初の症状は「のどの痛み」、「鼻みず」、「軽いせき」であり、いわゆる風邪(かぜ)のひき始めと区別がつかないものでした。

しかし、一般の風邪(かぜ)であれば、こじらさなければ3日程度で症状は改善に向かうのが普通ですが、3日を過ぎても気道の症状が悪化していくのが新型コロナウイルス感染による症状の一つの特徴と言えそうです。

また、3日を過ぎるころから体がかなりだるくなってくるという症状が出ることも一般の風邪(かぜ)ではあまり起きないことですので、体がかなりだるくなるという症状も新型コロナウイルス感染による症状のもう一つの特徴と言えそうです。この点は、おとといご紹介した中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案」の内容と一致しています。

八重咲きの梅(朱鷺の舞)の花:千葉大学柏の葉キャンパス

※なお、日本国内で新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、指示に従って下さい。
(T.K.) 

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東洋医学に基づいた丁寧な診察を行い、本格的な漢方治療・鍼灸治療をご提供しております。 どなたでも受診できますので、お気軽にご相談ください。

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