日本で「清肺排毒湯」の効果を得る工夫

2020年2月23日日曜日

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前々回のブログで、「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)」という漢方薬の、新型コロナウイルス感染症に対する臨床試験が、現在中国で行われていることをご紹介致しました。

現時点ではまだ、「清肺排毒湯」が新型コロナウイルス感染症に効くという医学的なデータは十分ではありません

しかし、もし近い将来「清肺排毒湯」の効果が裏付けられた場合、日本には「清肺排毒湯」という漢方製剤は現在は存在しませんので、既存の漢方製剤を組み合わせて「清肺排毒湯」の効果に近い処方を得る必要が出てきます。

今回のブログではこれを考えて見たいと思います。


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日本では厚生労働省が発出した「一般用漢方製剤製造販売承認基準」に掲載されている漢方製剤が基準になります。

すると、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方製剤と、小柴胡湯(しょうさいことう)という漢方製剤のミックスが基本になると思われます。


麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)の〔効能・効果〕は、「体力中等度以上で、せきが出て、ときにのどが渇くものの次の諸症:せき、小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎感冒、痔の痛み」です(「一般用漢方製剤製造販売承認基準」より)。

せきが強くでる場合は、麻杏甘石湯の代わりに五虎湯(ごことう)という漢方製剤が利用できそうです。


小柴胡湯(しょうさいことう)の〔効能・効果〕は、「体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくものの次の諸症:食欲不振、はきけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱疲労感かぜの後期の諸症状」です(「一般用漢方製剤製造販売承認基準」より)。

強いせきが出てたんが切れにくくときに胸痛がある場合は、小柴胡湯の代わりに柴陥湯(さいかんとう)という漢方製剤が利用できそうです。

食欲不振やはきけが強い場合、あるいは、下痢やむくみがある場合は、小柴胡湯の代わりに柴苓湯(さいれいとう)という漢方製剤が利用できそうです。

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なお、もし実際にこれらの漢方薬をご利用される場合は、体質や症状によりそれぞれの薬用量の調節をしなければなりませんので、必ず医師あるいは薬剤師の指示やアドバイスのもとでご利用下さい。漢方薬も薬剤の一種であることから、体質に合わなくて副作用が出現する可能性があるからです。

※また、日本国内で新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、指示に従って下さい。(T.K.) 

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