シオン

2015年10月14日水曜日

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シオンという不思議な語感の名前の薬草があります。キク科シオンAster tataricusが、淡い紫色の上品な花をつけています。
 小野蘭山は『本草綱目啓蒙』の草之五の「紫菀(しおん)」の項目でこう述べています。

「紫菀は人家で栽培され、花を鑑賞する。一度植えると側根が出て、たいへん繁茂する。葉の形は木香の葉に似て、表面はザラザラし、辺縁はギザギザしている。葉の色はふかみどり色である。

 秋になると、高さ七八尺(一尺=約30.3cm)になり、茎の先端は多く枝分かれし、無数の花を付ける。花の形はヨメナ(野菊の一種)の花に似ていて、花びらは淡い紫色で少しだけ青みがかっている。おしべとめしべは黄色い。」
 漢方では、根を薬用とし、生薬名「紫菀(しおん)」として利用します。

『神農本草経』では、巻中に登場します。「激しく咳き込む状態や、胸の中に寒邪と熱邪が居座った状態に用いる。また、ある種の寄生虫疾患で、歩行困難になった状態にも使われ、内臓を安定させる。」と記載されています。

 最近、涼しくなってきて、咳き込む方も増えてきていますので、紫菀のお世話にならないよう、皆様ご自愛下さい。T.K.

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