貝原益軒が、「注意して、風・寒さ・暑さ・湿気を防ぎましょう!!」と語っています。
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「風・寒さ・暑さ・湿気」は、身体の外からやってきて、病気の原因となります。これらが人間の身体の中に入り込むと病気になります。
実は、「風・寒さ・暑さ・湿気」が原因で死ぬというのは人間の天命です。聖人や賢人でも、いつかは、この天命を免れることはできません。しかし、いつも身体の元気を充実させて、慎重に「風・寒さ・暑さ・湿気」を避けることができれば、これらが身体の中に入り込むことを防いで健康を維持することができます。
万事、天に由来することは、しばしば人間の力は及びません。しかし、自分の身から生じることは、自分の努力で容易に正すことができるのです。飲食の欲や色欲により病気にかかるのは、100%自分の身から出る過失です。これは、天命ではなく、自分の身から出た過ちです。
身体の外から来る病の原因(風・寒さ・暑さ・湿気)を避けないのは怠慢です。そして、身体の中の欲(飲食の欲や色欲など)をコントロールしないのは過失です。このような怠慢や過失は、慎重さが足りないところから生じるのです。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第一 総論 上から)
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「風・寒さ・暑さ・湿気」というのは、東洋医学ではそれぞれ風邪(ふうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)と呼ばれ、東洋医学的では発病の原因の一つとされています。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。