『養生訓・総論 下』(2):正しい飲食と睡眠のとりかた

2016年8月1日月曜日

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前回の『養生訓・総論 下』(1)では、「元気」を養う時間を確保することの必要性が書かれていましたが、今回は、「元気」を養うための食事と睡眠についてです。

キク科チョウセンアザミ(アーティチョーク)Cynara scolymusの花(柏の葉診療所前の花壇にて)
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 「飲食」は身体を養い、「睡眠」は気を養うと言われている。

 しかしながら、飲食が節度を過ぎてしまうと、胃腸を損なってしまう。また、睡眠についても、眠るべき時間ではないときに眠ると、元気を損なってしまう。この二つの事は、身体を養おうとして、かえって身体を損なってしまうという例だ。

 養生法に通じている人は、早起きをして、昼寝はせず、夜半までには眠る。いつも自分の務めを怠らないで、昼寝は少なくして、精神を清らかにしている。飲食は必要以上に摂らず、自分のお腹の中を清く保っている。

 このようにすれば、元気が養われて、滞らず、身体をよく巡るようになる。このように生まれた元気は養分といっしょになり、体内に「気血」といわれるものが、おのずから充ちてきて、病にかからない。

 このように、「飲食」「睡眠」を正しいやり方でとることも、また、養生法の要(かなめ)である。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第二 総論 下から)

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 最近、メタボリックシンドロームという言葉が一般的になっているように、現代医学でも、過度の「飲食」の健康への弊害が科学的に証明されつつあります。貝原益軒は、遙か昔にこのことを指摘していました。

 一方、現代医学における「睡眠」と健康との研究は、まだ未知の部分が多いようです。上記の「睡眠」についての貝原益軒の指摘は、きっと適切なものなのだと思われます。(T.K.

 底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。

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