『養生訓・総論 下』(13):大切な「胃の気」

2017年7月20日木曜日

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 「食欲を保つ」ことは、東洋医学における最も大切な治療目標のひとつです。「食欲」のことを「胃の気」といいます。
 「胃の気」について、貝原益軒はこのように語っています。
アーティチョークの花(千葉大学柏の葉診療所前の花壇にて)

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 「胃の気」とは、元気の別名ということができる。重い病でも、「胃の気」がある人は生きる。「胃の気」がない人は死ぬ。

 健康な「胃の気」があるかは、脈(※)をみるとわかる。長くも短くもなく、遅くも速くもなく、太くも細くもなく、ちょうど中庸の状態が良い。この脈の状態は、言葉では説明しがたい。各自、実際に脈に触れて修得するしかない。

 元気な無病の人の脈は、このようなものである。これは、古人が説くところであり、養生をする人は、当然いつもこの脈があることを願うべきである。

 養生をせずに、「気」が減っている人は、たとえ若い人でもこの脈は少ない。これは、病人である。病的な状態の脈をもち、「胃の気」の脈がない人は死ぬ。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第二 総論 下から)

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 (※)東洋医学では、脈診(みゃくしん)といって、手首の橈骨動脈(とうこつどうみゃく)つまり手首の親指側の動脈に触れて、その方のお身体の状態を知る手段のひとつとします。

 西洋医学からみるととっても不思議なのですが、脈診によって、その方のお身体の状態をリアルタイムに知ることができます。(T.K.


 底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。


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