英国消化器病学会(British Society of Gastroenterology)が発行している、GUT(ガットと読みます)という世界的に影響力を持つ学会誌があります。
この学会誌GUTに今年5月、中国の同済医学院附属同済医院を中心とした研究グループから驚くべきデータが報告されました。すなわち、「槐耳(カイジ)」という生薬を内服することで、肝臓がん切除後の無再発 生存期間が有意に延びたというデータです。
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ちょっと医学用語が難しいのでこの研究の背景などを解説致します。
肝臓にがんが見つかり、無事手術でがんを切除できたとしても、もともと肝硬変などでがんが出来やすい肝臓をお持ちの方が多いので、しばらくすると一定の確率で肝臓にがんの再発が起こることは避けられません。
そこで、肝臓がんに効く可能性があるといわれていた「槐耳(カイジ)」という生薬の効果を明らかにするために、中国の合計1000名以上の患者さんにご協力頂いて、肝臓の手術後に「槐耳(カイジ)」を飲むグループと、飲まないグループとで、無再発 生存期間を比較したというのが今回の研究のデザインです。
無再発 生存期間というのは、がんが再発せず、生存している期間のことです。これを延ばすことができれば、その治療法は有効ということになります。
その結果、「槐耳(カイジ)」を飲まなかったグループの無再発 生存期間は平均で68.5週間だったのですが、「槐耳(カイジ)」を飲んだグループでは、75.5週間と有意に延長されました!同時に、肝臓の外に再発する確率を下げ、全生存率が有意に上昇したことが報告されています!
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過去の報告や上記のデータをふまえて、当診療所では、該当する患者様には、国内で「槐耳(カイジ)」を入手する方法や内服量をお伝えするとともに、体力を回復させたり、腹水を減らすような漢方薬を処方させて頂いております。
もちろん、現在の主治医の先生の治療をきちんと続けて頂くことが大前提になります。(T.K.)