日本の鍼灸の臨床では、お灸の中でも、「透熱灸」が一番行われています。これは、精製度の極めて高いモグサを使い、お米の大きさ(米粒大)にして、皮膚に直接のせ施灸します。
実は、この透熱灸の実施率は、中国では数%、韓国では10%位と言われていますが、日本では、臨床家の9割が灸施術を行い、その内の30%が透熱灸を行っているとする調査結果があります。中国の教科書では、元代以降、熱いという理由で下火になっていったそうですが・・・・。
日本は他の国と違い、熱いからやめてしまうのではなく、どうしたら心地よく行えるだろうかと考えました。精製度の高いモグサを作ることで燃焼温度を下げ、肌にのせるとき小さく(米粒大)作ることで、接地面も小さくし、なるべく「ふあー」と熱を感じるように硬さも調整します。小さく作れるのも精製度の高い(歩留りで3%。これは、100キロのヨモギから3キロのモグサしかできません。) モグサを作った職人さんのおかげなのです。
日本のお灸は、まさしく職人の技術と治療家の技の結晶で生まれたものなのです。
柏の葉鍼灸院
箕輪政博, 形井秀一. 日本の鍼灸臨床における灸療法の実態本学会会員を対象とした調査結果の概要. 全日鍼灸会誌. 2007; 57(3): 424.