養生に関連して、総論的なお話がもう少し続きます。
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私が思うに、人生における楽しみは三つあります。一つめは人の道にはずれることなく善き行いを楽しむこと、二つめは身体に病がなく健康を楽しむこと、三つめは長寿を楽しむことです。財産があったり、社会的地位が高くても、この「三つの楽しみ」がなければ、本当の幸福はありません。だから私は、財産や地位は、「三つの楽しみ」に入れていません。
もし、善き行いを楽しまず、また正しい養生法を知らず身体に病が多く、果ては短命に終わる人は、この「三つの楽しみ」を味わうことができません。この「三つの楽しみ」が無ければ、どんなに大富豪になったとしても、幸せになることはありません。
人として生まれて、この「三つの楽しみ」を味わうためには、きちんとした手段や方法が必要です。
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少し色づいたアカネ科クチナシGardenia jasminoidesの果実(昨年11月末の千葉大学柏の葉キャンパス薬草園にて) |
前置きが長かったのですが、次回からいよいよ、具体的な養生法の部分に入ります。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている 千葉大学附属図書館デジタルコレクション『養生訓』 (貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。