先週のブログから、養生に関連する具体的なお話に入っています。
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正しい養生法を行うためには、まず心にエネルギーを補充しましょう。心を和らげて、気持ちを平穏に保ち、怒りと欲をおさえて、憂いや心配事を少なくするようにしましょう。これは、心を苦しめず、エネルギーを損なわず、心にエネルギーを補充するために有効な方法です。
食べ物やお酒は自分で限度を定めておき、この一線を越えないようにしましょう。食べ物は「腹五分目」程度とし、満腹になるまで食べてはいけません。お酒はほろ酔いまでとしましょう。お酒も「五分目」を限度としましょう。
そして、若いときから色欲を慎んで、「精気」を大切にしましょう。「精気」を多く消費してしまうと、下半身の「気」が弱くなり、「元気」の根本が無くなって必ず短命になってしまいます。もし、飲食と色欲に慎みが無ければ、日々サプリメントを服用し、朝夕食事で補っても、そのかいがありません。
また、環境からの「風、寒さ、暑さ、湿っぽさ」の影響を防ぎつつ、日常生活や行動に節度を持ちましょう。時々体操をして腰やお腹をマッサージし、手足や体を動かす作業をして「気」や血液のめぐりを良くしておきましょう。食後にはゆっくり歩行して体を動かし、飲食が十分消化されるようにしましょう。ずっーと一箇所に座っているのは良くありません。
このようなことが、正しい養生法の入り口です。正しい養生法は、病気になっていない時に行うことが大切です。病気になってから、薬を飲んだり鍼灸を受けたりして病気を攻めるのは、正しい養生法から考えると本末転倒なのです。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第一 総論 上から)
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先週のブログにも書きましたように、貝原益軒は、東洋医学に精通していましたので、今回も東洋医学の概念がいっぱい登場しています。
既に何かのご病気をお持ちで治療をされている方もいらっしゃると思います。そのような方にとって、ご病気の進行を防いだり、別のご病気にならないために、貝原益軒の「正しい養生法」が役に立つことをお祈りしております。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。