今年の夏は本当に酷暑で、まだまだ残暑が続きそうですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
8月の中旬から下旬になって、「何となく体がだるい、体が重い。」「休んでも疲れが取れないな。」「仕事に集中できない、やる気がでない。」「食欲が落ちている気がする。」と感じるようになった方は、「夏バテ」の状態かも知れません。
「夏バテ」は「夏負け」「暑気あたり」とも言われ、正式な病名ではないようですが、暑い日が続くことによって、人体の体温を調節する自律神経に疲労を来した病態と考えられています。今年は「夏バテ」の状態になる方がとても多くなるのではないでしょうか?
一般的な対策としては、室温を適温に保ち、規則正しい生活をして、十分な睡眠を取り、消化の良い食べものをゆっくり摂って体力を回復させるということですが、「夏バテ」には漢方薬がお役に立つかも知れません。
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「夏バテ」の状態に使われる代表的な漢方薬は、清暑益気湯(せいしょえっきとう)や胃苓湯(いれいとう)などです。
清暑益気湯は、薬用人参など9種類の生薬が配合された処方です。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という、「だるい・疲れやすい」という状態に使われる処方に、体の余分な熱をさますと言われている黄柏(オウバク)という生薬や、体の乾燥を防ぐ麦門冬(バクモンドウ)という生薬などがさらに配合されたものです。
したがって、「何となく体がだるい、体が重い。」「休んでも疲れが取れない。」「やる気がでない。」というタイプの夏バテの方に適応がありそうです。
一方、胃苓湯は、11種類の生薬が配合された処方です。胃腸をこわした時に使われる平胃散(へいいさん)と、体に余分な水分が貯まった時に使われる五苓散(ごれいさん)を合わせた処方です。
したがって、「熱中症を予防するために水分を多めに飲んでいて、かえって胃腸の調子が悪くなってしまった。」「食欲が落ちてきた。」「消化が悪い気がする。」「便が軟らかい、下痢っぽい。」というタイプの夏バテの方に適応がありそうです。
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本ブログの漢方薬は、『新 一般用漢方処方の手引き』(日本漢方生薬製剤協会編集)の効能・効果の記載に基づいて、ご紹介しました。
ただし、漢方薬を安全に利用するために、内服する前に必ず知識のある医師・薬剤師にご相談されることをお薦めいたします。(T.K.)