今回は「こころと気持ち」をテーマとし、前半と後半でそれぞれ最新医学と伝統的医学によるアプローチをご紹介いたしました。
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セミナー前半では、『気持ちをうまくコントロールする方法〜認知行動療法〜』との演題名で、沼田法子先生(千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター)から、「認知行動療法とは何か?」「具体的にどうするのか?」について明快なご講演を頂きました。
「認知行動療法」についてご講演される沼田法子先生(千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター) |
その後、コーヒーショップでの状況を例として「認知行動療法の基本モデル」を当てはめて、「私」の中で、「感情・気分」「身体反応」「思考(考え)」「行動」の4つの因子が悪循環に陥る様子を分かりやすくご紹介頂きました。
そして、この悪循環を解消する技法のひとつとして「認知再構成法」について教えて頂きました。バス停で起こったあるストレスフルな場面を例として、「考え直し」の技法によって解消するコツや、コーピングという対処法について教えて頂きました。
「認知行動療法」というのは一見難しそうでしたが、具体的な例でご説明頂いたことで、よく理解できました。参加された市民の方々も、うなずきながら聴講されている方も多かったので、きっとご自分のご経験から共感されていたと思われます。
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「七情(しちじょう)」とは、誰でも持っている「喜ぶ、怒る、憂う、思う、悲しむ、恐れる、驚く」の七つの感情です。
「東洋医学」では、七情(七つの感情)が過度になると、心身の「気」の状態が異常になり、心身に病が起こると考えていることをご説明しました。そして、生薬や漢方薬で心身の「気」の異常を是正することにより心身の病を癒やそうとしていることを、実際の症例をご紹介しつつお話させて頂きました。
「感情」から起こった悪循環に対して、「認知行動療法」は「思考(考え)」や「行動」を窓口として治していく方法論と言えますが、これに対して「東洋医学」は、心身の「気」の異常というものに着目して治していく方法論と言えそうです。
最新医学と伝統的医学によるアプローチの姿に類似性を見ることができました!
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今回も、会場のシーズホール一杯となる100名を越える市民の皆様にご参加頂くことができました。ご参加頂きました皆様に深く御礼申し上げます。
セミナー終了後は、皆様は薬草園に移動され、ちょうど見頃になっている、薬草のオウレンの花や、サンシュユの花を観察されていました。(T.K.)