新型肺炎と漢方薬(回復期)

2020年1月31日金曜日

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前のブログに引き続き、中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第4版」から、新型肺炎の回復期(解熱後、まだ体力が回復していない時期)に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国政府による「新型肺炎診療ガイドライン案・第4版」の一部を翻訳*****

新型肺炎に対する漢方薬治療(回復期:解熱後、まだ体力が回復していない時期)
臨床症状:(熱は下がったが、)息切れがして、疲れやすい。
胃がつかえていて、食欲が戻らず、(無理して食べようとすると)ムカムカ吐き気がする。
便は出づらく、便が出てもベトベトしていてすっきりしない。
舌はむくんで、色は淡く、ベットリとした白いコケがついている。

東洋医学的解釈(※):肺(呼吸器系)と胃腸(消化器系)の働きが低下している。

煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの:人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、茯苓(ぶくりょう)、藿香(かっこう)、縮砂(しゅくしゃ)


*****引用は以上*****

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。


回復期の状態は、「肺(呼吸器系)と胃腸(消化器系)の働きが低下している」と解釈されていますので、呼吸器系と消化器系の働きを助ける生薬が選ばれています。

人参(にんじん) とは、いわゆる薬用人参のことで、ウコギ科オタネニンジンの根です。呼吸器系や消化器系の働きを助けたり、全身の体力を回復させる目的としては最も頼りになる生薬です。

黄耆(おうぎ) とは、マメ科キバナオウギの根です。よく上記の人参といっしょに用いられ、呼吸器系と消化器系の働きを助け、全身の免疫力を上げるのに役立つと言われています。
マメ科ゲンゲ属キバナオウギの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
陳皮(ちんぴ) とは、ミカン科ウンシュウミカンの果皮です。「みかんの皮」を乾燥させたもので香りが良く、七味唐辛子の中に入っていることからわかるように、胃の動きを促進して食欲の回復を助けます。

半夏(はんげ) とは、サトイモ科カラスビシャクの塊茎(地下茎の一部)です。胃のつかえ感や、吐き気を緩和する目的で用いられ、しばしば上記の陳皮といっしょに使われます。
サトイモ科ハンゲ属カラスビシャクの地上部(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
※本ガイドラインで薦められている漢方処方は日本では一致したものはありませんが、もし医療用漢方製剤(医師が処方できるエキス剤)147種類の中から選ぶとしたら六君子湯(りっくんしとう)でしょうか。また、一般用漢方製剤294種類の中から選ぶとしたら香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)が該当すると思われます。

※なお、日本国内で新型肺炎の発症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に連絡し、指示に従って下さい。
(T.K.)

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