新型肺炎と漢方薬(中期)

2020年1月30日木曜日

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昨日のブログに引き続き、中国政府による「新型コロナウイルス肺炎の診療ガイドライン案・第4版」から、新型肺炎の中期に使われる漢方薬についてご紹介致します。

漢方薬による補助療法は、あくまで現代医学的な補助療法がきちんと行われていることを前提とする治療法であることはご了解下さい。


*****以下、中国政府による「新型肺炎診療ガイドライン案・第4版」の一部を翻訳*****

新型肺炎に対する漢方薬治療(中期)

臨床症状:
熱が下がってもまた発熱する、あるいは、発熱が持続する。
咳き込むが痰が出づらい、あるいは、痰が黄色くドロッとする。
呼吸のペースが速くなり、ハアハアと息が切れ、体を動かすとゼーゼー息苦しくなる。
お腹が張って、便秘になることもある。
舌の色は赤みが強くなり、黄色いコケがべっとりと付く。 

東洋医学的解釈(※):強い毒が、肺の働きを閉じ込めている。 


煎じ薬に入れる生薬として薦められるもの麻黄(まおう)、石膏(せっこう)、杏仁(きょうにん)、桃仁(とうにん)、栝楼仁(かろにん)、葶藶子(ていれきし)、蒼朮(そうじゅつ)、草果(そうか)、檳榔子(びんろうじ)、大黄(だいおう)

*****引用は以上*****

※ 東洋医学的解釈とは、臨床症状を東洋医学的に解釈したもので、この解釈に基づいて、処方や生薬が選ばれます。


今回は、「強い毒が、肺の働きを閉じ込めている」と解釈されていますので、悪い毒を強力に体から追い出す作用を持つ生薬を使っています。

麻黄(まおう)と石膏(せっこう)と杏仁(きょうにん)は、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方処方の主成分です。この処方は、日本でも医療用漢方製剤として喘鳴がある状態にしばしば処方されています。中国では、以前からウイルス性肺炎の補助療法として使われてきました。

石膏(せっこう)とは、天然の含水硫酸カルシウムで、解熱作用があると言われています。

杏仁(きょうにん)は、バラ科アンズの成熟種子で、咳や喘鳴を緩和する作用があると言われています。

桃仁(とうにん)は、バラ科モモの成熟種子です。ふだんは血流(微小循環)の改善に使われることが多いのですが、新型肺炎の場合は他の複数の生薬と協力して肺の炎症を改善させつつ、咳や喘鳴を緩和する作用を期待しているものと思われます。
バラ科モモ属モモの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
栝楼仁(かろにん)は、ウリ科キカラスウリの成熟種子です。気道の炎症があって、ドロッとした痰が出たり、咳をすると胸が痛くなるような場合に使用されますので、今回も必要な生薬として選ばれたものと思われます。
ウリ科カラスウリ属キカラスウリの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
※本ガイドラインで薦められている漢方処方は日本では一致したものはありませんが、もし医療用漢方製剤(医師が処方できるエキス剤)147種類の中から選ぶとしたら麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)と柴陥湯(さいかんとう)のミックスでしょうか。また、一般用漢方製剤294種類の中から選ぶとしたら麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)と柴胡枳桔湯(さいこききつとう)のミックスが該当すると思われます。

※なお、日本国内で新型肺炎の発症を疑った場合は、直接クリニックや診療所などの医療機関には受診せず、まず速やかに管轄の保健所に連絡し、指示に従って下さい。
(T.K.)

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