「双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)」について

2020年2月3日月曜日

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中国の新華社通信は2020年1月31日付けの記事で、「上海の研究所で、双黄連口服液(そうおうれんこうふくえき)が、新型コロナウイルスを抑制する作用を持つことを発見した!」と伝えました。

双黄連口服液は、日本国内では販売されていませんが、中国では感冒に伴う発熱・咳嗽・咽頭痛などの症状を緩和する市販薬として知られているようです。金銀花(きんぎんか)・連翹(れんぎょう)・黄芩(おうごん)という3種類の生薬から作られた漢方薬とのことです。


しかし、翌2020年2月1日付けの中国の人民日報の記事では、「双黄連口服液の"爆買い"が起こっていることを懸念する。」と報じています。

そして、上海中医薬大学附属病院終身教授・呉銀根氏の「新型肺炎に対する漢方薬の予防効果はまだ不明確であり、さらなる調査と観察が必要だ。」というコメントを紹介し、さらに専門家達が「副作用(※)が起こる可能性がある。」と指摘していることを紹介し、双黄連口服液の内服は慎重になるべきであると注意喚起をしています。

この人民日報の記事の後半では、実際に新型肺炎患者の治療にあたっている上海中医薬大学附属病院呼吸器内科主任・張煒氏の「確かに漢方薬併用により、新型肺炎治癒後の患者の体力の回復が早まった。」とのコメントを載せていますが、張煒氏が「やはり、新型肺炎対策のポイントは予防にある。睡眠の確保、外出の減少、マスクの着用、頻繁に手を洗うことが必要である。」と一般的な予防行為が大切だと強調していることを紹介しています。

* * * * *

副作用(※)について: 双黄連口服液に含まれる金銀花(きんぎんか)と連翹(れんぎょう)に関しては、アレルギー反応などがない限り、重篤な副作用は知られていませんが、黄芩(おうごん)は注意すべき副作用を起こしうることが知られています。

金銀花(きんぎんか)と連翹(れんぎょう)については、1月28日のブログでご紹介致しました。
シソ科タツナミソウ属コガネバナの花(千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
黄芩(おうごん)は、シソ科コガネバナの根です。皮膚や内臓の炎症を緩和する目的で漢方ではしばしば使われる大切な生薬ですが、体質に合わない方が長期に内服すると、肝臓に負担がかかることがあったり、間質性肺炎(かんしつえせいはいえん)という、ウイルス性肺炎とは別の重篤な肺炎を引き起こすことが知られています。

中国の専門家達はこのような背景もあり、むやみに双黄連口服液を内服するのは良くないとコメントしているものと推測します。(T.K.)

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