サフランは南ヨーロッパ、小アジア原産のアヤメ科の多年草です。
歴史は古く、紀元前より香料や染料、薬用として用いられてきた貴重品です。日本には江戸時代にオランダから薬として渡来しました。
使用部位は、三つに分岐した細いひも状の柱頭で、暗赤色をしており特異な匂いがあります。また、ごく少量お湯に入れるだけで、黄色色素が溶出しますが、アラビア語の「黄色」がサフランの語源です。
1g集めるのに約150の花が必要で、露地栽培では夜明け前から手作業で花を摘み、速やかに乾燥させる必要があるため、大変手間暇のかかる作業です。世界の年間生産量200トンのうち、九割以上がイラン産ですが、最大消費国のスペインでイラン産のものを再輸出していることもあります。イランの人々は、紅茶に入れたり、料理に用いたり日常生活に欠かせないハーブです。
日本では大分県竹田市が主な産地です。球根を掘り上げて室内で開花させ、サフランの収穫を行いますが、降雨の多い日本ならではの優れた方法です。
鎮静、鎮痛、通経作用があり、血行を改善し、月経異常や不眠などの気持ちの落ち着かない症状に用います。子宮収縮作用があるため、妊婦の使用は避けた方が無難です。
また、クロッカスやイヌサフランなど、花の形状や名前の似た植物がありますが、サフランではないので、ご注意ください。(S)