ヤマモモの樹皮(楊梅皮)でした!
ヤマモモはヤマモモ科の常緑高木Myrica rubraで、本州中部以南、朝鮮半島、台湾、中国に分布します。
大学の頃、薬草園にヤマモモの木があったので、懐かしくなりました。とにかく果実がたくさんなるので、そのまま食べたり、ゼリーを作ってみたり。果実は柔らかく丁寧に取っているつもりでも、赤い果汁でベタベタになります。味は渋みと酸味があり、甘味は少なかったように思います。樹皮は、いかにもタンニンが多そうな渋い様相です。タンニンには収斂作用(引きしめる)があるため、下痢に用います。また、樹皮を漁網などの染料に用いるそうです。果実は果実酒に利用できます。
果実の東洋医学的な性質を江戸時代の和歌食物本草から引用してみます。
楊梅は味わい酸(す)ゆく、温(うん)のもの。空嘔(からえづき)止め痰を去るなり
酸味があって体を温める性質。空嘔を止めて痰を取る作用がある
やまももは酒毒をくだし食を消す。吐逆を止めて五臓をやわらぐ
酔いを醒ましたり、消化不良を治す。嘔吐を止めて、全身を整える作用がある
果実は、体を温め、嘔吐を止め、酒毒にもいいんですね(ヤマモモ酒は健康的?!)。他に腹痛を伴う下痢にもよいとの記述もありました。
ヤマモモは漢方の生薬としては利用しませんが、大事な生薬であることを学びました。(S)