今回から、『養生訓・総論
下』を読んでいきます。
まず、貝原益軒が、「あなたの1日を振り返ってみて下さい。」と提案しています。
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毎日、昼夜を通して、「元気」を養っていた時間と、「元気」を損なっていた時間を比べて、どちらが多かったか思い出してみて下さい。
多くの人々は、1日のうち、「元気」を養っていた時間はいつも少なく、「元気」を損なっていた時間はいつも多いことだろう。
養生の道を進むためには、「元気」を養う時間だけが大切であり、「元気」を損なう時間は少なくしなければならない。
もし、「元気」を養う時間が少なく、「元気」を損なう時間が多いという日々が長く続けば、「元気」が減って、病気になって死に至る。だから、多くの人々は、病気が多くて短命なのだ。
「元気」には限りがあるので、有限の「元気」を消耗して、無限の「欲望」を欲しいままにすることは、残念なことだ。
古くから「日一日を慎めば、寿(いのちながく)して、終(つい)に殃(わざわい)なし。」と言われている。
この言葉は、「1日1日、気持ちを新たにして、朝から晩まで『元気』を養うよう慎めば、身体に異常は起こらず、身体を損傷することはなく、長寿となり、天寿を全うするまで災いなく過ごせます。」という意味だ。これこそが、健康を保つための大切な教えである。
(貝原篤信
編録『養生訓』巻第二 総論 下から)
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是非、貝原益軒による上記の提案のように、1日を振り返ってみて下さい。(T.K.)
底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている『養生訓』(貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。