今日も「ナス科ヒヨドリジョウゴSolanum lyratum(現在の生薬名:白毛藤)」に関係した話題です。
昨日のブログで、貝原益軒と小野蘭山という、江戸時代の本草学者の権威お二人の間で、「ヒヨドリジョウゴ」の生薬名をめぐって見解の相違があることをお話ししました。
益軒先生は「ヒヨドリジョウゴは白英(はくえい)である」とおっしゃっているのですが、蘭山先生は「ヒヨドリジョウゴは蜀羊泉(しょくようせん)である」「白英とはマルバノホロシSolanum maximowicziiをさすのだ」とおっしゃっています。
そこで、東洋医学の本草書の原点である『神農本草経』をひもといてみましょう。ご存じなように、『神農本草経』では生薬を3つのグループに分類されています。無毒で長期服用が可能な上品(じょうほん)、使い方次第で薬にも毒にもなる中品(ちゅうほん)、薬にはなるが毒性も強いので特に注意が必要な下品(げほん)でしたね。
『神農本草経』では「白英(はくえい)」は上品として扱われ、「味は甘く、性は寒。熱が出て、黄疸になり、のどがたいへん渇く状態に用いられる。胃腸の働きが良くなり、体力がつく。長期に内服すると、身体が軽くなり、長生きできる。」と記載されています。
一方、『神農本草経』では「蜀羊泉(しょくようせん)」は中品として扱われ、「味は苦く、性は微寒。脱毛症、治りにくい皮膚のできもの、発熱を伴うかゆい皮疹、寄生虫による皮膚病変に用いられる。」と書かれています。
ナス科ヒヨドリジョウゴ Solanum lyratum |