これは、フウロソウ科ゲンノショウコGeranium thunbergiiの花です。小野蘭山は『本草綱目啓蒙』の中で、「葉の形は5つに分岐し、猫の足跡のようだ。・・・夏から秋にかけて、5枚の花びらを持つ紫色の花が咲く。白い花もあり、浅紫色の花もある。・・・根も苗も、粉末とし内服すると、下痢を起こす病気にたいへん効果がある。だから、ゲンノショウコ(現の証拠)と言われている。」と述べています。
ゲンノショウコは、センブリ・ドクダミと並んで日本三大民間薬の一つです。そのためか、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品である陀羅尼助丸®や百草丸®などにはゲンノショウコが配合されています。
また、ゲンノショウコのエキスと、キハダの樹皮から抽出したベルベリンという薬効成分を配合した、フェロベリン®配合錠という医療用医薬品(医師の処方箋が必要)があります。その効能効果は、ずばり「下痢症」です。
ゲンノショウコはいわゆる漢方処方の中に入れられることは希ですが、将来これが入った漢方処方が作られてもおかしくないですね。T.K.