『養生訓・総論 上』(4):正しく養生すれば、長生きできます。

2016年1月26日火曜日

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引き続き、『養生訓』を少しずつ現代文に意訳して行きます。

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 生まれつき寿命が短い方もまれにいらっしゃいますが、多くの方の場合、生まれた時にもらった寿命は長いのです。

 ただし、正しい養生法を知らないと、生まれつき「元気」があって身体が丈夫な方でも、朝に夕に「元気」を損なっていき、生まれつきの寿命には達せず、早世してしまうことが世間には多いですね。逆に、正しい養生法を行って身心を慎めば、とても虚弱な体質で、すぐ病気になるような方でも、かえって長生きすることが世の中ではよくあります。この二つの事例は、世間では多く見られることなので、(私が申し上げることを)疑ってはいけませんよ。

 老子も、「長生きできるかどうかは、その人の心がけ次第であり、天のせいではない。」とおっしゃっています。人の命は、もともとは天から頂いたものですが、正しく養生すれば長生きでき、正しく養生しないと長生きできません。したがって、長生きできるかできないは、自分自身の心がけ次第です。

 身体が丈夫で、本来長寿に生まれたような方でも、正しい養生をしないと早世します。虚弱で命が短いと思われる方でも、正しく養生すれば、長生きできます。正しい養生をするかしないかは、各人の心がけ次第ですので、「天のせいではない」と(老子が)おっしゃっているのです。

 譬えれば、火種を風が強く吹く場所に出しておけば、たちまち消えてしまいまが、炉の中で大切に守ればずっと消えません。蜜橘(みかん)をむき出しに置いておけば、年内ももちませんが、もし地中に保存して、よく世話をすれば、翌年の夏までもたせることができるようなものですね。

(貝原篤信 編録『養生訓』巻第一 総論 上から)

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キク科ヨモギ属カワラヨモギの花(昨年9月頃の、千葉大学柏の葉キャンパス薬草園)
 貝原篤信(あつのぶ)というのは、貝原益軒の本名です。

 「天地父母のめぐみを受けて生まれた」自分の命を全うするためにも、正しい養生法が必要であることが繰り返し記述されています。(T.K.

 底本は、千葉大学附属図書館によりデジタル化され一般公開されている 千葉大学附属図書館デジタルコレクション『養生訓』 (貝原益軒の没後百年にあたり刊行された版)です。

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