5−6月にかけて、アカネ科のクチナシGardenia jasminoidesが香りの良い真っ白い花をつけていました。
江戸時代の本草学者である小野蘭山(1729-1810)は『本草綱目啓蒙』の中で、「花を観賞するために、人家で多く栽培され、かきねにも利用されている。初夏に花が咲く。花弁が6枚あり、肉厚で香りがある。黄色いめしべがあり、後に結実する。」と書いています。
漢方では、上記の結実した果実を「山梔子(さんしし)」あるいは「梔子(しし)」として利用し、『神農本草経』には「胃のあたりが熱く感じたり、顔がほてって赤くなったり、皮膚がただれたり、できものができた時に用いる」と記載されています。
最近の国内の研究で、山梔子を長期に内服された方の中に、腸間膜静脈硬化症という、腸管を支えている膜の中の静脈の壁が固くなってしまう方がいることがわかってきました。山梔子のゲニポシドという成分が原因のようです。山梔子は、当院でもときに処方させて頂いていますが、長期投与にならないよう気をつけています。T.K.