小野蘭山は『本草綱目啓蒙』の中で、
「京都の北山で採れる黄耆は茎が弱く、直立できず、フジヅルのように地面を這っている。一方、広島産の黄耆は茎が直立し、高さは三四尺(一尺は約30.3cm)になり、苦参(マメ科クララ)に似ている。」と述べています。
薬草園のキバナオウギは、倒れないように支持棒が必要な株もありますが、なんとか直立しているので、江戸時代の広島産の黄耆に近い種類なのでしょうか?
『本草綱目啓蒙』には「広島産の黄耆は、夏になると枝の尖端に黄白色の花が咲く。花の形はアズキの花に似ている。花が終わると、短いサヤができる。」と書かれています。
漢方では、根を生薬「黄耆(おうぎ)」として利用しています。『神農本草経』では、「皮膚の化膿した『はれもの』や慢性化した皮膚の『できもの』に用いて、膿を出し、痛みを止める。痔疾患や頸部リンパ節がはれている場合も用いられる。身体に足りない部分を補うので、小児の様々な病気に使われる。」と記載されています。
現在でも、皮膚疾患、化膿性疾患、体力を補いたい時などに広く使われ、当院でもよく処方される生薬です。T.K.