これは、ハナスゲAnemarrhena asphodeloidesのつぼみです。昼間は全てつぼみの状態です。
小野蘭山は『本草綱目啓蒙』の中で、「夏に、葉が群がり生えている中から、茎が伸びてくる。高さは二三尺(一尺は約30.3cm)。その先端の一尺ばかりの部分に、小さくて細長い花が群がり付く。色は紫碧(しへき)。」と述べています。
紫碧色という表現は初めて聞いたのですが、確かに単なる紫色ではなく、どこか神秘的な色ですね。ハナスゲの開花は夜間です。あたりが暗くなってから撮影したため、ピントが甘くなってしまい申し訳ございません。
漢方では、根茎を生薬「知母(ちも)」として利用しています。『神農本草経』には、「熱が体にたまって、のどが渇く状態を治す。さらに、四肢や体幹のむくみを尿から出し、元気をつける。」と記載しています。当院でもしばしば、お世話になっている生薬です。T.K.