髪は血余、腎の華

2015年8月25日火曜日

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前回、髪は血余、すなわち血の余りと書きました。

漢方でいう血(栄養分)は身体に豊富にあり、すみずみまで行き渡ってこそ、髪の健康も保てるという訳です。

特に女性は血虚(足りない状態)になりやすいので、抜け毛が多い、艶がないなどの悩みは「血」を補うことで改善していくことが多いです。同時に、血虚に由来した生理のトラブルや貧血、皮膚の乾燥感などが改善していきます。

食材としては、鉄分の多い赤身の肉や魚、かき、鶏肉、小松菜、ほうれん草、にんじん、黒ゴマ、黒米、なつめなどが血虚に良いとされています。赤いものや黒いものが多いですね。

また、李時珍の書いた本草綱目には、「(黄帝内経)素問」、王冰、滑寿が云うには、髪は「腎」の華だという趣旨のことが述べられています。前回お話した「腎」も髪の成育に関わり、衰えにより白髪や抜け毛になったりします。

一夜にして髪の毛が真っ白になった、というエピソードを聞いたことがあります。マリーアントワネットにもそのような逸話があるようですが、これは、恐れの感情が腎を損傷した結果、白髪になってしまった、と東洋医学的に解釈できます(当然、一夜にして真っ白にはなりませんが)。

歯の話題で取り上げた、イワシや黒きくらげのほかに、山いも、黒ゴマ、黒豆、クルミ、クコの実、ヒジキ、昆布などの海藻類、あさり、いか、ウナギなどの魚介類。海の幸や黒いものが大体当てはまります。塩辛い海の幸は身体を冷やしがちなので、生姜などのスパイスと組み合わせるとバランスが取れます。

余談
髪の毛は生薬としても用いられます。髪の毛を黒焼きにして炭にしたものを「血余炭(けつよたん)」といい、粉末にしたものを止血作用や利尿作用を目的に服用したりします。血の余りを血の疾病に用いるのは理にかなっていますね。

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