テレビや映画で見る金田一耕介氏は、推理に行き詰ると頭を掻き逆立ちをします。頭皮を掻くのは、終戦後の貧しい時代の衛生環境の示唆や主人公の人物描写の一端なのでしょう。しかし、あれはストレス反応でもあったと思うのです。
時に過剰なストレスは腹痛や下痢、脱毛、頭皮の痒み、めまい、動悸、皮膚炎など具体的な症状を呈します。
ストレスで交感神経が優位になると末梢血管が収縮し血圧が上昇、筋肉の緊張するなど体が興奮状態にスイッチします。すると胃や腸が収縮して痛んだり便通異常になったり、心拍数が増えて動悸を感じたり、皮膚のマスト細胞からのヒスタミンの放出や異常発汗による皮膚刺激などで痒みや炎症を起こす等の様々な症状を引き起こすのです。
漢方ではこれらの症状を「気」の巡りの異常と捉えて、ストレスに過剰反応しない様に心身の両面から症状の改善を図り、立て直します。
蓬髪に古びた着物、衿に落ちるフケ、その容貌や仕草から物事に無頓着と思われがちな探偵、金田一耕介氏。実は外見と裏腹に繊細な神経の持ち主で、ストレスと戦いながら凄惨な難事件を解決していたと考えるとお話しに人間味が加わる気がします。(Y)