駅を降りて間もなく海に到着、磯の匂いをする砂を一生懸命、熊手で掻いた記憶があります。
後から聞いた母の話しでは、取ったのは砂抜きに手間を要するシオフキ貝ばかり、御近所に吹聴した手前もあって「あさり」をたくさん買って帰ったそうです。
何故、幼稚園遠足の潮干狩り程度で舞い上がってしまったのか、・・それは、「憧れ」の潮干狩りだったからなのです!
母が幼い頃にみた絵本の挿絵は、砂を掘ると大きな貝や宝物がザクザク出てくる潮干狩りの場面。「いつか潮干狩りに行ってみたい」と思っていたとか。
潮干狩りは8月頃まで出来るそうですが、ベストシーズンは旧暦3月の大潮の頃、「あさり」が産卵する前までの5月初旬から6月後半までのようです。
「あさり」の性質は「寒」で体の余分な熱を冷まし水分代謝を高める、また肝の働きを良くするので春先のイライラや五月病の予防にもなるようです。
「潮干狩り」は冬を過ぎて伸びやかになった気分を解放するレクリエーションの面からも理にかなった行事なのです。
杉浦日向子さん監修の「お江戸でござる」の中に、花見でお見合いの席を設け、その後は山菜取り、潮干狩り、夏の野山へ出掛け縁を深めて秋に祝言という、めでたい話しも出ています。(Y)