平安に伝わった黄土 1

2015年10月7日水曜日

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 先日(9/30)の記事に、今昔物語に黄土という生薬が出てくる、とありました。おうどと読みます。10世紀に編纂された『本草和名』に記載され、平安後期にはすでに日本に伝来したと言われており、今昔物語の時期と一致します。

 大陸の黄色い土が飛来して堆積したもの(中国西北部から華北)、あるいは黄土で作ったかまどの中央の焼けた土のことを指します。焼けているということは、新しいものではなく、しばらく使ったものです。特に、かまどの土を生薬に使う場合、伏竜というかまどの神にちなみ、伏竜肝(ぶくりゅうかん)と称します。

<伏竜、ふくりょう、ふくりゅう>
水中深く隠れていて,昇天の機をうかがっている竜。転じて,世間に知られていない俊傑・大人物。 → 臥竜(三省堂大辞林)
三国時代、司馬徽(しばき)が蜀の諸葛孔明を伏竜と評しています。

 成分はケイ酸、酸化アルミニウム、酸化鉄など。吐き気を止め、出血を抑えることから、つわりや下血、吐血などに使われます。もともとの黄土(堆積物)は吐き気のほか、腫れ物、打撲に使われたりします。日本には黄土は堆積しませんので、かわらや素焼きの土器などで代用されてきました。

 黄土を溶解した上澄みも漢方で使われます。つわりによく効く小半夏加茯苓湯は、この黄土水を用いて煎じるとより効果が上がると書かれています。(S)

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